2010年ドラフト、セ各球団の成果は? 外れ外れで山田哲が入団、DeNAは全員去る

ヤクルト・山田哲人【写真:荒川祐史】

中日は5選手指名、うち3選手が他球団で戦力に…

 12月半ばに差し掛かり、2018年もあとわずかとなった。ソフトバンクが2年連続で日本一に輝いたプロ野球界もすっかりシーズンオフとなり、話題はストーブリーグが中心に。各球団の契約更改も進み、FA権を行使した選手たちの去就も全て決定。新助っ人の補強も、続々と発表されてきている。

 そして、今秋のドラフト会議で指名された各球団期待のルーキーたちも正式に契約を締結。各球団で新入団選手発表会も行われており、お披露目されている。中日に入団した根尾昂内野手やロッテの藤原恭大外野手、広島の小園海斗内野手、日本ハムの吉田輝星投手、西武の松本航投手、ソフトバンクの甲斐野央投手らが注目を集める中で、来季、一体どの選手が輝きを放つのか、楽しみだ。

 ただ、ルーキーたちがいきなり1年目から活躍するのは、なかなか至難の技。昨年のドラフトで指名された今季のルーキーたちも然り。清宮幸太郎内野手が大きな注目を集めた中で、大きく活躍したのはDeNAの東克樹投手ら、一握りの選手だけだった。

 ドラフトの成果は5年、10年経ってみないと分からないと言われるもの。では、5年前から10年前の各球団のドラフトが、今季どのように成果として発揮されたか、1年ずつ検証していってみよう。今回は8年前、2010年のドラフト【セ・リーグ編】だ。

【中日】
1 大野雄大投手 6試合0勝3敗0S0H 8.56
2 吉川大幾内野手(2014年戦力外→巨人)97試合18打数3安0本0点 .143
3 武藤祐太投手(2017年戦力外→DeNA)20試合0勝0敗0S0H 6.46
4 森越祐人内野手(2014年戦力外→阪神)16試合32打数4安0本1点 .125
5 関啓扶投手(2013年戦力外)

【阪神】
× 大石達也投手
1 榎田大樹投手(→西武)23試合11勝4敗0S1H 3.32
2 一二三慎太投手(2016年戦力外)
3 中谷将大捕手 77試合222打数51安5本26点 .230
4 岩本輝投手(2016年戦力外→BC福井→オリックス)17試合1勝2敗0S5H 4.30
5 荒木郁也内野手 1軍出場なし
育1 阪口哲也内野手(2014年戦力外)
育2 島本浩也投手 1試合0勝0敗0S0H 9.00
育3 穴田真規内野手(2013年戦力外)

【巨人】
1 澤村拓一投手 49試合1勝6敗0S24H 4.64
2 宮國椋丞投手 29試合0勝0敗0S4H 1.97
3 田中太一投手(2016年戦力外)
4 小山雄輝投手(→楽天、2018年戦力外)1軍出場なし
育1 和田凌太内野手(2014年戦力外)
育2 岸敬祐投手(2013年戦力外→ロッテ育成、2014年戦力外)
育3 福泉敬大投手(2011年戦力外)
育4 荻野貴幸内野手(2014年戦力外)
育5 財前貴男内野手(2012年戦力外)
育6 成瀬功亮投手(2018年戦力外)
育7 川口寛人内野手(2011年戦力外)
育8 丸毛謙一内野手(→オリックス、2015年途中引退)

【ヤクルト】
× 斎藤佑樹投手
× 塩見貴洋投手
1 山田哲人内野手 140試合524打数165安34本89点 .315
2 七條祐樹投手(2015年戦力外)
3 西田明央捕手 4試合7打数1安0本0点 .143
4 又野知弥外野手(2014年戦力外)
5 久古健太郎投手(2018年戦力外)1軍出場なし
6 川崎成晃外野手(2015年戦力外)
育1 北野洸貴外野手(2012年戦力外)
育2 上野啓輔投手(2012年戦力外)
育3 佐藤貴規外野手(2014年戦力外)

DeNAは全選手がチームを去り、福山のみが楽天で活躍

【広島】
× 大石達也投手
1 福井優也投手 3試合0勝3敗0S0H 8.40(→楽天)
2 中村恭平投手 8試合0勝1敗0S0H 7.53
3 岩見優輝投手(2015年戦力外)
4 金丸将也投手(2013年戦力外)
5 磯村嘉孝捕手 37試合79打数17安1本4点 .215
6 中崎翔太投手 68試合4勝2敗32S6H 2.71
7 弦本悠希投手(2013年戦力外)
育1 山野恭介投手(2013年戦力外)
育2 池ノ内亮介投手(2015年戦力外)

【横浜(DeNA)】
1 須田幸太投手(2018年戦力外)10試合0勝0敗0S0H 7.59
2 加賀美希昇投手(2015年戦力外)
3 荒波翔外野手(2018年戦力外)11試合11打数0安0本0点 .000
4 小林寛投手(2017年戦力外)
5 大原慎司投手(2017年戦力外)
6 福山博之投手(2012年戦力外→楽天)21試合1勝2敗0S3H 6.75
7 大原淳也内野手(2012年戦力外)
8 鶴岡賢二郎捕手(2015年戦力外)
育1 松下一郎捕手(2013年戦力外)

 プロ入りから8年が経過している2010年のドラフト組。見れば分かるが8年にわたってプロの世界でプレーすることがいかに難しいか、よく分かる。特に、育成選手としてセ・リーグ各球団に入団した選手の大部分は、すでに戦力外となっている。

 2010年のドラフトで、個人として最も成果を残しているのはヤクルトの1位指名だった山田哲人だろう。史上ただ1人、3度のトリプルスリーを達成した日本球界屈指の好打者となった山田。とはいえ、ドラフトでは斎藤佑樹(日本ハム)、塩見貴洋(楽天)を外し“ハズレハズレ1位”だったところに、ドラフトの“数奇さ”が感じられる。ただ、ヤクルトは3位の西田は在籍しているものの、残り7選手(支配下4選手、育成3選手)が戦力外となっている。

 5人を指名した中日で、いまもチームに残っているのは、大野雄大ただ1人。大野雄は今季、ルーキーイヤー以来の未勝利と大不振に終わったものの、2013年から3年連続2桁勝利をマークし、実績は残している。この年の中日で不思議なのは、2位以下の3選手が他球団で1軍でプレーしている点。2位の吉川大は2014年に戦力外となり巨人へ移籍し、今季は守備固めが起用の主ではあるものの、キャリアハイの97試合に出場。3位の武藤は昨季戦力外となり、今季はDeNAで20試合に登板。4位の森越も阪神で現役を続けている。

 阪神は、1位で指名した榎田が今季西武へ移籍して覚醒。初の2桁勝利をマークし、10年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。中谷は今季は数字を落としたが、昨季は20本塁打を放ってブレークした。4位の岩本は2016年に戦力外となったが、BCリーグの福井でのプレーを経て、今季途中にオリックスに加入。中継ぎで17試合に投げた。阪神は指名した5選手のうち、2位の一二三を除く4選手がNPBでプレーしている。

 巨人は1位の澤村、2位の宮國がそれぞれ戦力となっているものの、3位以下の10選手は戦力外に。澤村は今季復活を果たし、通算でも45勝47敗73セーブ37ホールドをマーク。4位の小山は楽天に移籍したものの、今季戦力外となった。広島は1位で入団した福井が今オフに楽天にトレードに。ただ、5位で指名した磯村は貴重な控え捕手となり、6位の中崎は不動の守護神に。上位2人は期待通りの活躍とはいかなかったものの、下位で大きな成果を上げている。

 DeNAは、この年に指名した9選手全員がチームを去った。1位の須田が2016年に62試合に登板するなど、中継ぎとして活躍したが、今季で戦力外に。2012年、2013年にゴールデングラブ賞を獲得した荒波も今季で戦力外に。唯一、他球団でプレーしているのが福山。今季は不振に苦しみ21試合登板に終わったが、2014年から4年連続60試合超に登板し、楽天に欠かせぬセットアッパーとなった。(Full-Count編集部)

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