法王、来年来崎へ

 「パパさまが長崎に来る」。中学校の教室で、クリスチャンの同級生がその日を待ち望むように弾んだ口調で語っていたことを思い出した▲1981年2月。ローマ法王ヨハネ・パウロ2世が初来日し、長崎を訪れた。5万人近い人々を集めて野外ミサが行われたのは、長崎では珍しい大雪の日だった▲潜伏キリシタンが迫害に耐えて信仰を守り抜き、原爆の惨禍を乗り越えたこの地が、一面銀世界と化した中で、信者に祝福を与えた法王。「戦争は人間の仕業である」と訴えた広島でのメッセージと共に、多くの人に強い印象を残した▲それから38年後となる来年の末ごろ、長崎を訪問したいとローマ法王フランシスコが述べた。県民から早速、歓迎の声が上がっている▲法王は2013年の就任以来、核廃絶の実現を繰り返し訴えてきた。原爆投下後の長崎で撮影されたとされる「焼き場に立つ少年」の写真をメッセージカードにして各方面に配っているともいう。長崎ではきっと力強いメッセージを世界に向けて発信してくれるに違いない▲来年末というと、今ごろになるかもしれない。たとえ前回のような寒波がやってきたとしても、県民は熱い気持ちで歓迎するだろう。前回と同様、敬虔(けいけん)な信者が、平和を希求する人々が、法王の長崎来訪を心待ちにしている。(泉)

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