長崎県負担90億円減 与党PT 上振れ分の財源策了承

 国土交通省は18日、人件費高騰などで建設費が膨らんでいる九州、北陸両新幹線の財源確保策を与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(座長・岸田文雄政調会長、PT)に報告し、了承された。地方負担の軽減策を施すと、九州新幹線長崎ルート武雄温泉-長崎間にかかる本県の追加負担は、おおまかな試算で約300億円から約90億円減り、約210億円程度になる見込み。財源にめどがついたことで、暫定開業目標の2022年度に間に合う見通しとなった。
 財源確保のため、19年度予算案は国費を当初要求していた755億円から792億円に増額して計上する。PT終了後、岸田座長は19年度以降の対応についても「毎年度、国費の最大限の増額を図ることと、補正予算の活用の可能性を検討し、国費を最大限確保することを条件に了承した」と述べた。
 PT委員の金子原二郎参院議員(長崎選挙区)は「できるだけ地元に負担をかけないよう努力してきた。目標の開業時期がほぼ確約され安心した」と話した。
 建設費が膨らんでいるのは、九州新幹線長崎ルート武雄温泉-長崎と、北陸新幹線金沢-敦賀で、両区間合わせて約3451億円上振れする。財源確保策では19年度からの4年間で約半分の約1729億円を、低利の財政投融資を活用し、浮いた余剰資金で賄う。16年度に新幹線建設のため民間からの借入金8千億円を財投に切り替えており、これによる金利負担軽減分を充てる。
 財投からの充当で賄えない分は、国と地方の負担を増やすなどして確保。国鉄時代に建設した東海道、山陽などの新幹線をJRに譲渡したことに伴う収入の一部も使う。
 財源確保策を巡って、財務省は運行主体のJR西日本、九州両社が国に支払う線路使用料(貸付料)を増やし建設費に充てるべきだと主張している。両社が反対したため19年度は見送るが、20年度以降に実現可能かどうかを研究する。実現できれば国費と自治体負担が減る。

新幹線建設費増加分の財源確保策を了承した与党PTの会合=衆院第2議員会館

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