茨城県内学童保育 県連絡協事務局長・平松克美さん「豊かな放課後、大人が築く」

進む企業参入、格差拡大も

©株式会社茨城新聞社

放課後、近隣の公園で伸び伸びと遊ぶNPO法人こばと学童クラブ育成会の子どもたち=水戸市新荘

共働きやひとり親家庭の児童を預かる放課後児童クラブ(学童保育)。共働き世帯の増加などでニーズが高まる中、課題も山積する。そこで、茨城県学童保育連絡協議会(ひたちなか市・大内理嗣会長)の平松克美事務局長(70)に県内の学童保育の課題などを聞いた。

-全国的に1950年ごろ始まった学童保育。県内の学童保育はどう変化しましたか。

「県内の学童保育は、1976年に水戸、取手、東海の3市村で民設民営1カ所ずつ立ち上がったのが始まりです。県内第1号が水戸市の『学童保育所こばとクラブ』(現NPO法人こばと学童クラブ育成会)です。安全第一に家庭の雰囲気の中で、豊かな放課後を過ごせるよう、保護者たちが研修を受けながら、手探りで運営していました。その頃から協議会では、学童保育専任指導員の必要性を感じていました。その後、公設の学童保育がぐっと増え、現在公設、民設などを合わせたクラブ数は県内約950カ所。子どもの成長や豊かな放課後の観点から、42年たった今も変化が少なく、未成熟と感じています」

-待機児童、支援員の不足など学童保育を取り巻く課題は山積です。課題をお聞かせください。

「大きな課題の一つは、公設の学童保育に企業の参入が進んでいることが挙げられます。学童保育は、一人一人の子どもと保護者、支援員のコミュニケーションで信頼関係を築いていきますが、企業は利益を追求します。指定管理者制度で委託会社が3〜5年で切り替わることもあり、信頼関係や子どもの情緒面で不安があります」

-そのほかには。

「国による全国統一の基準で、40人の子どもに対して、支援員は2人以上配置すると決められていますが、超過で受け入れているクラブもあります。一人一人の様子が分かるよう、定員と配置数は守ってほしい。自治体の担当者には、なぜ定員が40人なのか。支援員が2人は必要なのか、もっと理解を深めてほしいです」

-2015年にできた全国一律の基準を、政府は来年度から参考にする基準として地域ごとに作り直す方向を打ち出しています。ご意見をお聞かせください。

「県内の学童保育は、地域差も大きく、質もばらつきがありました。新制度により、全国一律の基準に合わせようと努力してきましたが、今回の規制緩和で、格差がさらに進むのではと危惧しています。支援員の配置を『必要な知識を学ぶ研修を受けていない、かつ1人でもいい』とすると、子どもの安全面や情緒の安定がますます揺らいでしまう。国は職員基準の緩和を決めたが、各自治体は2人配置できるよう考えてほしいです」

-学童保育にとって大切なことは何でしょう。

「豊かな放課後をつくってあげられるのは大人たち。その子らしく過ごせる貴重な放課後の時間をどうつくってあげられるか。地域で、どんな子どもに育ってほしいか。学童保育のニーズが高まる中、真剣に考えなくてはいけないと思います」

■ひらまつ・かつみ
学童保育所こばとクラブ父兄OB。36年間、全国学童保育連絡協議会に加盟する県学童保育連絡協議会で活動。東海村在住。

平松克美さん