「ソ連崩壊は残念」04年来最高に 高まるロシアの大国意識

By 太田清

モスクワの赤の広場で行われた軍事パレードの再現イベント=2017年11月7日(タス=共同)

 ソ連崩壊について、ロシアのプーチン大統領が「20世紀最大の地政学上の悲劇」と呼びロシアの大国化の志向を隠さなかったことは有名だが、独立系調査機関「レバダ・センター」が19日発表した11月の世論調査によると、「ソ連崩壊を残念に思うか」との問いに、「はい」と答えた人は66%と、2004年(68%)以来最高となった。 

 シリアやウクライナ東部紛争、米大統領選などへの介入で国際的孤立を深める中、ロシアのナショナリズム、大国主義意識の高まりを裏付けているものと言えそうだが、ロシア紙ベドモスチ(電子版)によると、社会学者はスターリン時代の圧政の肯定、1990年代の民主化の否定など、これまで当然と見なされてきた歴史的価値観の見直しにつながる恐れを指摘している。 

 「はい」と答えた人は昨年、58%だったが今年の調査で6割を超えた。過去最高はエリツィン大統領からプーチン氏への政権移行が行われ、社会の混乱期にあった2000年の75%だった。今年は「崩壊は避けられた」と答えた人も60%と、05年以来最高。 

 年代別に見ると、ソ連崩壊を悔やむ人は55歳以上の層が最も多いが、近年は18~24歳という旧ソ連時代を知らない若年層の間でも増えている。 

 「残念に思う」理由として最も多かったのは、「統一した経済システムの破壊」の52%。これは、例えばロシアが原油・天然ガスを提供する一方、ベラルーシが工作機械、ウクライナが穀物を生産するなど旧ソ連内での分業体制がソ連崩壊に伴い崩れたことを指す。識者は年金受給年齢引き上げなどによる経済的な不安感が、旧ソ連時代の安定した社会へのノスタルジーをかきたてたと分析。次いで「偉大な大国に属するという意識の喪失」(36%)、「相互の不信、残酷さの拡大」(31%)と続いた。 (共同通信=太田清)

★ レバダ・センターが調査結果をオンラインで発表しましたので、発表を基に差し替えました。

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