13G差逆転「メークレジェンド」でセ連覇 10年ひと昔、2008年巨人を振り返る

2008年は原辰徳監督率いる巨人がセ・リーグ2連覇を達成【写真:Getty Images】

最大13ゲーム差を逆転してのセ・リーグ連覇「メークレジェンド」

 10年ひと昔という。10年前の野球界はどんな様子だったのか。2008年の野球界を数字で追いかけよう。2008年のセ・リーグ優勝チームは巨人だった。

2008年 讀賣ジャイアンツ 84勝57敗3分 勝率.596 1位

 原辰徳監督率いる巨人は前年覇者。しかし開幕から5連敗と最悪のスタートだったが6月以降調子は上向きに、9月には1引き分けを挟んで12連勝し、首位を走る阪神を急追。10月8日の東京ドームでの直接対決で3-1で阪神を破りついに首位に。阪神に2ゲーム差をつけて優勝。最大13ゲーム差を逆転しての優勝は「メークレジェンド」と呼ばれセ・リーグ連覇を果たす。CS第2ステージでも中日を3勝1敗で下し、日本シリーズへ。しかし西武に3勝4敗と敗退した。

○打線 左端の数字は打順、打率の横の()は順位

1右・高橋由伸(33歳)91試275打65安17本41点1盗 率.236
2二・木村拓也(36歳)124試372打109安7本31点1盗 率.293
3一・小笠原道大(35歳)144試520打161安36本96点0盗 率.310(10)
4左・ラミレス(34歳)144試548打175安45本125点1盗 率.319(7)
5中・谷佳知(35歳)120試349打103安10本45点5盗 率.295
6捕・阿部慎之助(29歳)125試428打116安24本67点1盗 率.271(25)
7外・亀井義行(26歳)96試276打74安5本23点7盗 率.268
8遊・坂本勇人(20歳)144試521打134安8本43点10盗 率.257(30)
外・鈴木尚広(30歳)105試247打75安3本17点30盗 率.304
三・古城茂幸(32歳)83試159打34安3本16点6盗 率.214
一・李承ヨプ(32歳)45試153打38安8本27点1盗 率.248
三・脇谷亮太(27歳)56試120打25安1本8点4盗 率.208
二・ゴンザレス(29歳)32試114打35安2本17点0盗 率.307

 主力選手のうち木村、小笠原、ラミレス、谷、李が他球団からの移籍組。3番小笠原、4番ラミレスの中軸2人は不動だったが、あとは猫の目打線。毎日のようにオーダーが変わった。開幕当初は1番高橋由伸が話題となったが、後半は鈴木尚広が起用されることが多くなった。そんな中で2年目の坂本勇人が20歳で正遊撃手として全試合出場した。打点王に輝いたラミレスがMVP、ベストナイン、阿部慎之助、鈴木尚広がゴールドグラブを受賞した。

育成上がりの山口鉄也は67試合に登板し新人王を獲得

○投手陣 防御率の横の()は順位

先・グライシンガー(33歳)31登17勝9敗0SV0HD 206回 防御率3.06(6)
先・内海哲也(26歳)29登12勝8敗0SV0HD 184.1回 防御率2.73(3)
先・高橋尚成(33歳)23登8勝5敗0SV0HD 122回 防御率4.13
先・上原浩治(33歳)26登6勝5敗1SV5HD 89.2回 防御率3.81
先・バーンサイド(31歳)15登5勝3敗0SV0HD 75回 防御率3.48
先・木佐貫洋(28歳)14登6勝5敗0SV0HD 74回 防御率4.14
中・山口鉄也(25歳)67登11勝2敗2SV23HD 73.2回 防御率2.32
中・越智大祐(25歳)68登3勝3敗0SV10HD 71.1回 防御率2.40
中・東野峻(22歳)28登2勝0敗0SV2HD 54回 防御率2.83
中・野間口貴彦(25歳)17登2勝3敗0SV0HD 52.2回 防御率4.96
中・豊田清(37歳)50登3勝2敗0SV26HD 46.1回 防御率3.30
中・西村健太朗(23歳)43登6勝2敗0SV12HD 45回 防御率3.00
抑・クルーン(35歳)61登1勝4敗41SV3HD 61回 防御率2.21

 これも移籍組のセス・グライシンガーが最多勝、同じくマーク・クルーンが最多セーブ。グライシンガーは最優秀投手、ベストナインにも選ばれる。救援では育成上りの山口鉄也がすべて救援で67試合に投げ、11勝を挙げ、新人王になる。

ドラフト会議

1位 大田泰示(内野手)
2位 宮本武文(投手)
3位 齋藤圭祐(投手)
4位 橋本到(外野手)
5位 笠原将生(投手)
6位 仲澤広基(内野手)

育成
1位 杉山晃紀(投手)
2位 尾藤竜一(投手)
3位 山本和作(内野手)
4位 福元淳史(内野手)

 原辰徳監督の後輩である大田泰示を単独1位指名。大型内野手として期待されたが、巨人では花が咲かず、日本ハムに。現在はレギュラーの外野手になっている。この年のドラフトで現在現役は大田と楽天の橋本だけだ。

 10年後の2018年オフ、この顔ぶれで、現役選手は阿部慎之助、亀井善行、坂本勇人、内海哲也、上原浩治。今年引退を表明したのが脇谷亮太、山口鉄也、西村健太朗。そして原辰徳監督が復帰する。時代の移り変わりを感じる。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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