島全体がジオパークの島原半島!観光ついでに雲仙岳でゆるっとハイキング 長崎県の島原半島に聳える雲仙岳。何度もの噴火で新しくできた平成新山をはじめ、実に20以上もの山々で構成されている、島原半島のシンボルともいえる山です。平成3年に発生した噴火による火砕流では実に大きな被害をもたらし、約5年もの間度重なる災害に見舞われました。今回はそんな活火山・雲仙岳の歴史・見どころや登山コース情報、さらに一緒に行きたい観光・グルメ情報を紹介します!

20以上の山々が集まる、雲仙岳(うんぜんだけ)

  • 標高: 1359.29m(主峰・普賢岳)
  • 山頂所在地: 長崎県島原市、南島原市、雲仙市
  • 最高気温(6月-8月): 23.2℃
  • 最低気温(6月-8月): 11.4℃

参考:ヤマレコ
雲仙岳は島原半島ジオパーク内にある世界有数の活火山で、普賢岳、妙見岳、国見岳など20以上の山から成る火山群の総称です。平成3年に始まった主峰「普賢岳」の噴火で溶岩ドームが現れてから、成長と崩壊を繰り返し、噴火が終息した平成8年に最高峰となったドーム部分を「平成新山」と名付けました。

雲仙の地名は、大宝元年(701年)に僧行基が温泉山満明寺を開いた際、「温泉」を「うんぜん」と呼んだことからとされています。

平成の大噴火があった雲仙岳。今は登れるの?

雲仙岳は平成2年11月に198年ぶりの噴火を始めてから入山禁止となっていましたが、平成10年4月に火山活動が沈静化したと見なされ登山解禁となりました。その後平成24年には普賢岳山頂方面への登山道が整備されています。
現在では、平成新山の火口周辺約950ヘクタールが警戒区域に設定されていて一般の立ち入りは制限されています。

噴火警戒レベル1の活火山であることに留意し、登山を行ってください。
雲仙岳の活動状況を確認する

ミヤマキリシマに紅葉…一面に広がる数々の絶景

個性豊かな山々から成る雲仙岳は、四季折々で美しい風景が広がります。その美しさは息を呑むほど。どのような絶景が見られるのでしょうか?

春にはミヤマキリシマで一面ピンクに

ミヤマキリシマは九州の高山に自生するツツジの一種。春になると雲仙岳周辺は一面このミヤマキリシマで埋め尽くされます。葉の大きさや光沢、花のピンクの色合いに変化があるのがミヤマキリシマの特徴で、美しいグラデーションに圧倒されます。

秋には紅葉が!長崎県内でも人気の絶景紅葉スポット

雲仙の紅葉は「普賢岳広葉樹林」として国の天然記念物に指定されているほど。紅葉する植物はヤマボウシやドウダンツツジ、コハウチワカエデなどなど120種類以上と言われ、10月下旬から11月下旬にかけての山の斜面はまるで錦の絨毯のよう。

( 国見岳周辺から見下ろす紅葉)

雲仙の紅葉はロープウェイや仁田峠展望台からも楽しめますが、特に国見岳山頂からの景観は素晴らしく、起伏に富んだ稜線の山肌が色とりどりに染まり、登山をしながら絶景の紅葉が見られます。

(普賢岳山頂からの紅葉と平成新山)

普賢岳山頂からの紅葉も見事です。こちらでは紅葉と荒々しい平成新山のコラボ絶景を見ることができます。

紅葉の時期は混雑に注意!!!

(イメージ画像)

紅葉やミヤマキリシマの時期にはかなり混みあうので早めの時間に行動するのが重要です。ロープウェイを利用する場合は始発狙い!ゲートの開く8時前には到着しているようにするのがおすすめです。

【ロープウェイで約3分!!】スニーカーで気軽に散策コース

雲仙岳に登ってみたいけど、観光も楽しみたいから時間がないしスニーカーしかない!そんなときでもロープウェイを利用すれば気軽に雲仙岳を楽しめます。

ロープウェイを利用すると標高1,300mの妙見岳駅までたった3分で登ることができます。ロープウェイに乗ってる間が絶景で、眼下には島原半島の街並み、緑や紅葉、その先には海の姿が。

(妙見岳展望所からの景色)

ロープウェイ妙見岳駅を降りるとすぐ、景色を見渡せる広場があります。ここかでも絶景を楽しむ事が出来ますが、せっかくここまで来たら少し登ったところにある妙見岳展望所に行ってみましょう。ロープウェイを降りた場所からでは見ることができない、平成新山や普賢岳を見る事ができます。
周囲から飛び出した高台にあるので360度のパノラマが広がり、島原半島をぐるりと見渡すことが出来る絶景スポット!

たった3分!絶景が広がる【雲仙ロープウェイ】

  • 距離: 500m
  • 所要時間: 約3分
  • 高低差: 約174m
  • 定員: 36名

参考:Wikipedia
駐車場のある仁田峠から標高約1,300mの妙見岳駅までをつなぐ三線交走式のロープウェイ。足元近くまでの広い窓で眺めが抜群です。

▼雲仙ロープウェイの料金

  • 大人往復(中学生以上): 1,260円
  • 小人往復: 630円

▼雲仙ロープウェイの運行スケジュール
夏季(4/1~10/31) 午前8時31分から午後5時23分(上り最終5時03分)
冬季(11/1~3/31) 午前8時31分から午後5時11分(上り最終4時51分)
4分~8分毎の運行
※季節や時期により、運行開始・終了時間が異なる場合があります。必ずHPをご確認下さい。

雲仙ロープウェイ

雲仙ロープウェイへのアクセス方法

【車の場合】
長崎自動車道 諫早IC→雲仙ロープウェイ(約90分)
【電車・バスの場合】
長崎駅→特急バス→雲仙→タクシー→雲仙ロープウェイ

長崎県営バス 時刻表

【約4時間半】火山の力強さを間近で体感!周回コース

雲仙岳のうち、妙見岳、国見岳、普賢岳に登る周回コース。平成新山方面は立ち入り禁止ですが、間近に見れる場所を通るので迫力満点!コースから外れないように安全に登山を楽しみましょう。

  • 距離: 約5km
  • コースタイム: 4時間25分
  • 日程: 日帰り
  • 難易度: ★★☆☆☆

参考:地理院地図(電子国土web)
仁田峠(35分)→妙見神社(40分)→鬼人谷口(90分)→立岩の峰(40分)→普賢岳(60分)→仁田峠

仁田峠から登山スタート。山中にトイレはないのでここで済ませて行きましょう。仁田峠はロープウェイの駅がある観光スポットでもあるので、混んでいるときは池の原園地から歩くのもおすすめです。

幅広い遊歩道を歩き、ロープウェイ仁田峠駅の横から登山道に入ります。妙見神社までは整備された階段状の登山道。次第に展望が開け、橘湾や九千部岳が見渡せます。

ロープウェイ妙見岳駅を過ぎて、ゆるやかなアップダウンのある登山道を歩くと妙見神社があります。妙見神社の奥が最高点の1,333m。長崎県では2番目に高い場所にある神社で、四面宮が祀られています。

神社を過ぎてゆるやかに下ると国見岳へ続く稜線がきれいに見えてきます。いくつかの小ピークを越え、国見分かれから国見岳山頂まではところどころ鎖場のある岩場を登っていきましょう。距離は短いですが、緊張感のある岩場が続くので慎重に!

国見岳の山頂は狭いですが、普賢岳や平成新山が見え、眼下には橘湾や有明海が眺められます。ミヤマキリシマの時期には急斜面に花が咲く景観が見事です。

来た道を国見分かれまで降りて鬼人谷口に向かってどんどん下ります。時間がない場合は鬼人谷口から紅葉茶屋経由で普賢岳に登ることもできます。

(鳩穴分かれ)

ゆるやかな登山道を歩いて鳩穴分かれへ。途中にある西の風穴からは冷たい風が吹いてくる冷感スポット。鳩穴分かれは眼下に海を見下ろす格好の展望台になっています。

平成新山への入山は禁止されていますが、立岩の峰に登るとあちこちに噴気の上がる平成新山を間近に見ることができます。

(霧氷沢)

霧氷沢分かれから平成新山方面の登山道は霧氷沢で行き止まり。ゴロゴロした岩の迫力ある風景を見ることができます。登山道から外れると土はあっても下が空洞になっている箇所もあるので登山道を外れないようにしましょう。

普賢岳山頂まではそれほどきつい登りではありませんが、最後は岩場をよじ登ります。普賢岳山頂直下には普賢神社があり、山頂からは天気が良いと桜島をはじめ、有明海、橘湾、島原湾の三海も見渡すことができます。

(紅葉茶屋)

普賢岳から紅葉茶屋までは急坂な下りで一気に降ります。ロープが設置されている場所もありますが岩が露出した登山道は滑りやすいので注意しましょう。

徐々に傾斜が緩んで木漏れ日の気持ちがよい登山道となり、薊谷休憩所を過ぎると多少のアップダウンはあるもののすぐにロープウェイ仁田峠駅に到着。遊歩道を歩いて仁田峠に下山します。

島全体が観光地!島原半島ジオパークとは

島原半島ジオパークは、雲仙を中心に、島原市、雲仙市、南島原市で構成されたジオパーク。その中でもユネスコの定める基準に基づいて認定された高品質の”世界ユネスコジオパーク”に認定されています。
このジオパークには「島原半島のなりたち」「人々と火山の噴火」「災害の予防と復興」「自然の恵み」「歴史・民話」という5つのテーマがあります。

ジオパークとは…?

ジオパークは、美しい自然景観や学術的価値を持つ自然遺産を用いて、その土地や地球の成り立ちを知り、それらと私たちとの関わりを楽しく正しく学び、感じることができる自然公園です。よく似たしくみに、国立公園や国定公園などがあります。

雲仙岳の歴史を学ぼう

火山の噴火と共存してきた島原の人たち。その歴史や火山について知ることのできる施設をご紹介します。

【雲仙岳より約30分】雲仙岳災害記念館

(雲仙の土石流に埋もれた家)

雲仙岳噴火災害の脅威や教訓を伝えるために作られた、全国初の火山体験学習型観光施設。愛称の「がまだすドーム」の「がまだす」は、島原地方の方言で「がんばる」という意味です。

住所:長崎県島原市平成町1-1
電話番号:0957-65-5555
駐車場:400台(無料)
営業時間:9:00~18:00(入館17:00まで)
料金: 大人1000円、中高生700円、小学生500円

【雲仙岳より約40分】平成新山ネイチャーセンター

平成新山を間近に眺望することができ、噴火の被害を受けた垂木台地の自然環境がどのように回復していくのかを直接観察して学べる学習施設です。

住所:島原市南千本木町甲2683
電話番号:0957-63-6752
駐車場: 28台(無料)
開館時間:9:00~17:00
休館日:火曜日・年末年始(休館日が祝祭日の場合は翌日が休館日)
料金: 無料

一緒に楽しみたい観光&ご当地グルメ

雲仙のある島原半島には、登山だけでなく自然やグルメがたくさん!せっかく行くなら一緒に楽しみたいですね。

雲仙地獄

雲仙地獄はキリシタン殉教の舞台になったことでも知られる地獄温泉。30あまりの地獄の中を歩ける遊歩道を歩いて地獄を体感できます。名物温泉たまごや温泉卵も人気です。

住所:長崎県雲仙市小浜町雲仙320
電話番号:0957-73-3434
駐車場:合計217台(第一駐車場~第五駐車場)
料金: 無料

おしどりの池

初夏には湖面がエメラルドグリーンになり1万本ものアジサイが咲き誇る美しい風景が見られます。周囲2.7kmの池の周りは遊歩道になっているのでウォーキングしながら景色を楽しみましょう。

住所:長崎県雲仙市小浜町雲仙
電話番号:0957-73-3434
駐車場:95台(第四駐車場(古湯駐車場))
料金:無料

湯の里温泉共同浴場

雲仙で最も古い歴史のある共同浴場で、「だんきゅう風呂」の愛称で親しまれています。だんきゅうとはらっきょうのことで、昔はらっきょう漬けの樽にお湯を入れて使用していたことからこの名が付きました。

住所:長崎県雲仙市小浜町雲仙303-1
電話番号:0957-73-2576
営業時間:9:00~22:00
駐車場:4台
料金:大人200円、子供100円

【雲仙名物】小浜ちゃんぽん

長崎・天草と並んで日本三大ちゃんぽんの一つ。100年以上前から小浜温泉の名物として親しまれています。豚骨や鶏ガラのこくがあるのにあっさりとしたスープに極太の麺がよく合います。

このグルメが味わえる場所は…?
【海花亭】
住所:長崎県雲仙市小浜町北本町25-11
電話番号:0957-74-2776
営業時間:10:30~21:30
駐車場:9台

【食楽。大盛】
住所:長崎県雲仙市小浜町南本町23-14
電話番号:0957-74-2470
営業時間:12:00~14:30、17:30~20:30
駐車場:4台

ゴロゴロ具材がボリューム満点!具雑煮

島原半島一帯で作られている、野菜や鶏肉などたくさんの具と丸餅を入れて煮込んだお雑煮。正月やお祭りなどハレの日に食されています。

このグルメが味わえる場所は…?
【元祖 姫松屋 本店】
住所:長崎県島原市城内一丁目1208
電話番号:0957-63-7272
営業時間:11:00~19:00
駐車場:60台

雲仙で自然やグルメまで楽しもう

(妙見岳からの普賢岳と平成新山)

雲仙普賢岳の噴火は記憶に新しいと思いますが、島原の人々は繰り返される噴火と向き合って生きてきました。雲仙登山では火山の迫力を間近に見ることができます。ぜひふもとの雲仙岳災害記念館などにも立ち寄って学び、グルメなども一緒に楽しんでください!

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。)
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。

© 株式会社スペースキー