先発、外野手…積極的な動きの日ハム 支配下登録から見る補強ポイントは?

日本ハム・栗山監督【写真:荒川祐史】

オリックスから自由契約となった金子を獲得

 プロ野球もオフシーズンに入り、各球団は来季に向けて戦力を整えている真っ最中だ。FA権を行使した選手の移籍先は全て決まり、今後は新たな外国人の獲得、トレードなどでの補強などで、来季の編成を固めていくことになる。

 日本のプロ野球では、1軍の試合に出場できる支配下登録選手の枠は70人が上限に定められている。通常、各球団はシーズン中の補強、そして育成選手の支配下への昇格も想定して、ある程度、枠に空きを作り、65人から多くても67、68人ほどで開幕を迎える。

 この70人の枠の中で、いかに戦力を編成し、バランスを整えていくか。そこは球団の方針によるところとなる。そこで、ここでは各球団の現在の支配下登録枠の状況を見て、その球団の補強ポイントを探ってみたい。今回は日本ハム編。

 現時点での日本ハムの支配下登録の状況は以下のようになっている。
支配下登録:68人(61人+新人7人)
・投手36人(新人4人、右投手27人左投手9人)
・捕手8人(新人1人、右打者7人左打者1人)
・内野手15人(新人1人、右打者7人左打者7人両打1人)
・外野手9人(新人1人、右打者2人左打者6人両打1人)

○投手陣
 中継ぎの充実度はかなり高い。昨季終盤から抑えに定着した石川直也は22歳とまだ若く、経験を積めばこれからリーグを代表するストッパーになってもおかしくない。右は浦野博司、井口和朋、西村天裕、玉井大翔が、左では宮西尚生、公文克彦が控え、トンキンの後釜に新外国人のハンコックを補強、またトレードで秋吉亮を獲得するなど質と量の両面で申し分ないリリーフ陣といえるだろう。今季不振だった鍵谷陽平や白村明弘あたりが復活すると、さらに盤石なものになる。

 先発陣は盤石とはいえない。計算できるのは残留が決まったマルティネス、今季初の2桁勝利を挙げた上沢直之の2人。オリックスから自由契約となった実績十分の金子弌大を獲得したが、層の薄さはぬぐえない。有原航平、加藤貴之、ロドリゲス、村田透あたりが1年間ローテーションを守れるかどうかがカギとなる。

 ただ、投手陣の将来性は明るい。15年ドラフト1位の上原健太、16年ドラフト1位の堀瑞輝ら若手投手たちは順調にステップアップを続けている。加えて、今年のドラフトでも1位で吉田輝星を獲得。次世代のエース候補として、ポテンシャルの高い若手投手が控えている。

台湾の“大王”こと王柏融の獲得で外野、DH枠の補強に成功

○捕手
 FAで主力捕手の大野が抜けたシーズンだったが、その影響を感じさせなかった。今季101試合出場の鶴岡慎也は来年38歳を迎え、また兼任コーチとなるため、出場試合数は減ることが予想される。清水優心や石川亮、郡拓也といった有望な若手捕手がいるため、大きな穴にはならなさそうだ。

○内野手
 一塁手で主砲の中田翔はFA権を行使せず残留、遊撃手の中島卓也も健在だが、三塁手のレアードは去就が不透明。もしレアードが抜けた場合、三塁手が大きな穴になる恐れがある。球団は大田泰示らに三塁手の練習をさせているが、挑戦1年目でレアードの代役はあまりにも酷だ。横尾俊建、高濱祐仁らの突き上げが待たれるところ。一塁手は中田のほかに清宮幸太郎、遊撃手は中島のほかに石井一成、平沼翔太らがいる。

 最も大きな問題は二塁手不足だ。横尾は守備、石井は打撃が課題で、最後まで固定できなかった。レギュラーに一番近いのは渡邉諒。終盤にスタメンを奪取し、キャリア最多の7本塁打を打った勢いそのまま、来季スタメンに定着できるか。ほかにも、杉谷拳士らがセカンドの定位置を狙っている。

○外野手
 リーグトップクラスの層の厚さを誇る。今季のレギュラーの西川遥輝、近藤健介、大田泰示からなる上位打線は屈指の破壊力を誇る。ほかにも若手の浅間大基、清宮幸太郎、台湾の“大王”こと王柏融がおり、将来的にもほとんど問題のないポジションといえる。

○指名打者
 近藤、王、清宮の併用が予想される。王の打撃は未知数だが、仮に日本球界に適応できなくてもバックアップが多いため問題はないポジションといえる。

 今季3位だった日本ハムだが、王、金子の獲得など例年にない積極補強を見せている。レアードの残留交渉が不調に終わった場合、助っ人獲得はあるだろう。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2