早くも68人、補強難しく既存戦力に期待? 支配下登録枠から見るDeNAの補強点

DeNA・ラミレス監督【写真:荒川祐史】

左腕は豪華な陣容も今永、浜口が今季不振

 プロ野球もオフシーズンに入り、各球団は来季に向けて戦力を整えている。1軍の試合に出場できる支配下登録選手の枠は上限70人。シーズン中の補強、育成選手の支配下への昇格も想定して、65から68人ほどで開幕を迎える球団が多い。

 70人の枠の中で、どのように戦力編成を行っていくかは、当然ながら球団の方針によって違う。ここでは各球団の現在の支配下登録枠の状況を見て、その球団の補強ポイントを探ってみたい。今回はDeNA編。

 現時点でDeNAの支配下登録の状況は以下のようになっている。

支配下登録:68人(62人+新人6人)

投手 計35人(新人3人、右投手25人左投手10人)
捕手 計6人(新人1人、右打者4人左打者1人両打ち1人)
内野手 計18人(新人2人、右打者11人左打者7人)
外野手 計9人(新人0人、右打者3人左打者6人)
合計 68人

○投手
 左投手は10人だが、今永、浜口、東と3年連続で大卒の先発左腕を獲得している。さらに先発の石田、セットアッパーの砂田、エスコバー、田中、プロスペクトの櫻井と質は高く、今季苦しんだ今永と浜口が復活すれば、12球団ナンバーワンの左腕王国を築ける陣容だ。リリーフのパットン、山崎もしっかりしており、ドラフト1位で投手の目玉だった上茶谷も獲得。平良、京山、飯塚、阪口ら、成長が期待できる若手右腕も多い。

 ただ、今季は今永と浜口の不振もあり、計算できる先発投手の確保に苦労した。巨人に後れを取り、クライマックスシリーズを逃した大きな要因の一つとして、先発ローテーションを固定できなかったことがあげられる。すでにロペス、ソト、エスコバー、パットン、バリオスと外国人は5人在籍しており、支配下登録の枠を考えてもこれ以上の補強は現実的ではない。ひとまずは若手の復調と伸びに期待か。

内野18人は明らかに多いが、ソトや中井ら外野も守れるユーティリティー揃い

○捕手
 嶺井、伊藤光、戸柱の3人の守備面の信頼は厚い。今季途中で高城、白崎を放出して伊藤光、赤間を獲得したが、伊藤光の加入は捕手陣に新しい風を吹き込んだ。ただ、3人とも打率1割台に終わっただけに、もう少し打撃でも結果を出してほしいところだろう。今年のドラフトでは、高校球界屈指の捕手・益子を獲得。20歳の山本もおり、人数は少ないながら陣容は悪くない。

○内野手
 18人は明らかに多い。特に右打ちの内野手は11人を数える。ソトは外野も守れる“使い勝手”のいい外国人で、巨人戦力外から加入した中井も内外野を守るユーティリティーだ。この2人を外野に数えれば、バランスはまずまずか。30代に入った宮崎、大和、そしてロペスも右打者。左打者にも柴田、佐野と20代序盤の伸びしろのある選手が揃っており、新人の伊藤裕季也や侍ジャパンU23経験者の大河などプロスペクトも豊富。これ以上は補強の必要はなさそうだ。

○外野手
 前述のソト、中井がユーティリティーであることを考えると、9人という人数でも十分まわしていけるだろう。懸念としては主砲・筒香の存在感があまりに大きすぎること。現状、離脱時に替えが効かないうえに、筒香自身も近い将来のMLB挑戦を視野に入れており、ポスト筒香の育成は避けては通れない。細川、青柳、関根ら若手に一段の成長を期待したいところ。筒香、桑原、梶谷のレギュラー組とバックアップの力量にまだまだ差がある印象が強いが、当面はレギュラー組が元気なうちに若手の成長を期待すべきか。

 DeNAは他球団に比べ、主力の年齢層が若い。レギュラー陣が年代的にも非常に元気だけに、かえって主力が固定され、なかなか競争になりにくい部分もあるのではないだろうか。ラミレス監督はソトや中井など複数ポジションを守れる選手を好む傾向があり、支配下登録がすでに68人の状況でもやりくりは上手。あとは主力が安心してしまわないように、どう競争をあおるかだろう。

 野手に比べ、投手陣には課題が残る。今季は計算できる先発投手がもう1人いれば…という思いを味わっただけに、ルーキーの上茶谷もまず先発で使われるだろう。期待通りの活躍をしてくれれば、井納、東に加え今永、浜口の復調次第で今季苦労した先発投手陣も安定に向かう。外国人も先発、リリーフ両方の経験があるバリオスを残留させ、限られた人数でも人材を有効に使うラミレス監督好みの陣容と言えそうだ。(Full-Count編集部)

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