都水道局発注の送水管新設工事、耐震対策で「断層用鋼管」採用 立川断層横断部で管路確保

 活断層を跨いで埋設される耐震水道鋼管として開発された断層用鋼管が、東京都水道局発注で行われている東大和給水所(東京・東大和市)から砂川中部上水所間の送水管新設工事で採用されている。工区内の立川断層横断部で、地震による断層変位時に管路を確保する。

 断層用鋼管はJFEエンジニアリング(社長・大下元氏)が開発した製品。直管部にあらかじめ変形しやすい突起状の波形管部を設けることで、数メートルもの断層変位に対しても管に亀裂や漏水を生じさせることなく通水機能を確保できる。これまで、神戸市の大容量送水管に採用された実績があるが、都の送水管工事では初めての採用となる。

 工区の全長は約4・5キロのトンネル内配管工で計905本の鋼管が使用されるが、そのうち13本が断層用鋼管(撓曲対応型)。口径2千A、管厚18ミリのSS400材の逆断層タイプで立川断層を跨ぐ近辺の約180メートル部分に使用される。断層用鋼管の敷設工事は年内に終了する予定。国内には確認されているだけで2千カ所以上の活断層がある。活断層を跨いで敷設される水道管路は、地震時に断層変位が生じると極めて大きな圧縮方向の曲げ変形を受けることから耐震対策が必須。断層用鋼管は直管と組み合わせることで地形に合った管路を構築できることから今後の採用動向注目される。

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