【平成の長崎】スカイウェイ廃止も 背景に老朽化、利用者減 今後の在り方を再考 平成19(2007)年

 稲佐山の中腹と山頂をつなぐ長崎スカイウェイが、老朽化のため運行休止中だ。1月24日、長崎市は同市議会観光振興特別委員会で、今後の対応として廃止を視野に入れていることを明らかにした。スカイウェイだけでなく、来場者数が伸び悩む長崎の“シンボル”稲佐山観光の今後の在り方も問われそうだ。
 市観光部によると、2,006年6月、スカイウェイの中腹駅の「予備原動機切替付近」から異音を確認。8月に運行を一時休止して修理した。これらの事態を踏まえ、10月に施設全体の調査を実施したところ、老朽化や塩害による腐食した部分が発見され「現状では故障または事故につながる危険がある」と判断し、12月末から運行を休止した。
 現在は、稲佐山の中腹と山頂の間をワゴン車で無料送迎する対応を取っている。同部は、運行を再開するには、整備費に約2億5千万円が必要で、さらに利用者が年々減少傾向にある現状を踏まえ、スカイウェイの存続と廃止について議会などと協議して判断するとしている。
 委員会で、市は「スカイウェイの廃止の場合は、民間事業者による有料シャトルバスの運行など中腹の大型駐車場から山頂展望までの大量輸送手段の確保が必要」と説明。また、存続の場合については、「利用者の減少に歯止めをかける具体的策を打ち出さなければならない」とした。
 市観光部の田中和博次長は「これまで稲佐山では、さまざまなイベントを開催し、夜景をメーンにPRしてきたが、だんだんと市民の求める魅力が欠けてきているのかもしれない。今回の休止はスカイウェイと稲佐山の在り方を考え直すターニングポイント」と話した。
 スカイウェイは1,990年、民間業者が開業。しかし、赤字経営が続いたことから、98年から市が施設を無償で引き取り、長崎ロープウェイ・水族館に業務を委託して運行している。
 開業時は年間約30万人の利用者数があったが、年々減少。2,005年度は利用者数は開業時の半分以下の約14万人。また、市が施設を受け継いでからは4400万円を改修工事費などに充てている。
 ふもとから山頂をつなぐロープウエーは今後も運行を続けるという。
(平成19年1月25日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

老朽化のため現在は運行休止になっている長崎スカイウェイ=06年4月撮影

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