みずみずしい風景、豊かな色彩 横須賀美術館で矢崎千代二展「絵の旅」

 24日まで。横須賀市汐入生まれの洋画家、矢崎千代二(1872~1947年)が世界各地を巡って描いたパステル画や油彩画約150点が並ぶ回顧展。 

 矢崎は東京美術学校(現東京芸大)で黒田清輝に師事。印象派に影響を受けた「外光派」を学び、戸外の明るい光で色彩や空気感の再現を試みる画風を身に付けた。絵の具と比べて持ち運びや色の速写性、発色に優れたパステル画へ40代半ばに転向。日本の風土を描くのに適した色をそろえようと、国産パステルの開発では指導者的な役割を果たした。

 パステルの特性を生かしたみずみずしい風景画は、欧州やインド、中国などを訪れて目にした風景。光に満ちたベネチアを描いた「ヴェニス」では、水面に映る建物のゆらぎや空の色を豊かな色彩で表現している。

矢崎千代二「ヴェニス」(1923年、横須賀美術館蔵)

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