HTB「変なホテル」に全和室の3期棟オープン フィルム型太陽電池を導入 HTB出資ベンチャー「サウレテクノロジーズ」が開発

 長崎県佐世保市のハウステンボス(HTB)にある「変なホテル」に、3期棟が完成し、21日にオープンする。初めて和室を取り入れ、インバウンド対策を強化。新開発のフィルム型次世代太陽電池を導入し、エネルギーの生産性向上を図る。今後は完全キャッシュレスのホテル実現を目指す。

 木造2階建てで全和室56室。部屋は最大4人まで泊まれる「スーペリア」と最大5人の「デラックス」の2種類がある。すべて顔認証システムで解錠できる。全室にロボット掃除機を設置。清掃の効率化を進める。

 現在は支払いの際に現金やクレジットカードなどを選べるが、来年をめどに現金の取り扱いをやめる。将来的には顔認証と組み合わせ、決済の「顔パス」を目指す。エネルギーの生産性向上を目指し、フィルム型次世代太陽電池と植物性由来の蓄電池を導入。コスト軽減と、自然エネルギーの活用を図る。

 20日に会見したHTBの澤田秀雄社長は「エネルギーでも生産性ナンバーワンを目指す。これから実用化が進むフィルム型太陽電池は、HTBの中でも使いたい」と語った。

 料金は、スーペリアが9500円~、デラックスは1万2800円~(いずれも2人で宿泊した場合の1人当たり)。年末年始はすでにほぼ満室という。

 佐世保市のハウステンボス(HTB)が出資するポーランドのベンチャー企業「サウレテクノロジーズ」は、フィルム型次世代太陽電池を開発した。21日にオープンする「変なホテル」3期棟に試験的に導入。量産態勢に入る。20日に会見したHTBの澤田秀雄社長は「HTBの近くに国内やアジア向けの製造工場建設を検討したい」との考えを示した。

 フィルム型次世代太陽電池は、薄さ0・5ミクロン。従来のソーラーパネルと異なり、外壁などさまざまな物の表面に貼り付けることができる。安価で生産できることも特長という。

 サウレテクノロジーズは、14カ国から研究者を招いて2015年に創業。同年11月からHTBが出資している。

 20日に変なホテルを訪れたサウレテクノロジーズの最高技術責任者(CTO)、オルガ・マリンケビッチ氏は「来年には量産ラインを稼働させる。発電効率など日々改善を加えている。この技術は、さまざまな面で利用の幅が広がるはずだ」と語った。

21日にオープンする「変なホテル」の3期棟=佐世保市ハウステンボス町
変なホテル3期棟に試験導入したフィルム型次世代太陽電池の前で、性能などを説明するオルガ・マリンケビッチ氏=佐世保市ハウステンボス町

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