新幹線の線路使用料増額「おかしい」JR九州社長 財務省の主張に難色

 JR九州の青柳俊彦社長は20日、長崎新聞社のインタビューに応じた。建設費が膨らんだ九州新幹線長崎ルート武雄温泉-長崎間などを巡り、JRが国側に支払う線路使用料(貸付料)の増額を財務省が主張していることについて、「建設費がいくらだからと払うものではなく、おかしい」と難色を示した。整備方式が未定の新鳥栖-武雄温泉間は「フル規格が一番効果がある」と強調した。
 国土交通省は18日、建設費が膨らんだ九州、北陸両新幹線の財源確保策を与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)に報告、了承された。この追加財源とは別に、財務省は運行主体のJR九州、西日本両社が支払う貸付料を増額し建設費に充てるべきだと主張。両社が反対したため2019年度は見送るが、20年度以降に実現可能か検討は続く。実現すれば国費と自治体負担が減る。
 これに対し、青柳社長は20年度に「(自分の)考えが変わる話でもない」と強調。貸付料については「建設して、その効果を国と話し合い30年分を分割払いするもの。建設費が上がったからといって、まだリース料(貸付料)も決めていないものを『上がる』といわれても、それはおかしいのではないか」と不満を示した。
 未着工の新鳥栖-武雄温泉は「運営する側としてもフル規格が効率良く効果を出すことができる」とあらためて主張。「投資効果が発揮できる姿で一刻も早く整備されることを願う」と述べた。
 長崎ルートの2022年度暫定開業時に採用される新幹線と在来線特急を乗り継ぐ「リレー方式」については「お客さまがどれだけ増えるかと考えると非常に限定的な効果しかない。(リレー方式の)期間はできるだけ短くしてほしい」と訴えた。

九州新幹線長崎ルートの課題などについて話す青柳社長=福岡市博多区、JR九州本社

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