J・3D、コバルトレス素材など2新鋼種の造形開始へ 戦略商品化通じ数量増狙う

 F&Cホールディングスグループで、3Dプリンターによる各種受託加工、造形を行うJ・3D(本社・名古屋市港区、社長・高関二三男氏)は、3Dプリント造形製品市場のさらなる開拓に注力する。年明けをめどに、新たに2種類の金属粉末による造形業務をスタートする。今後、新鋼種の加工数量を段階的に高めて戦略商品化するとともに、同業他社との協業関係を強化しながら数量アップを図る考えだ。

 1~2種類程度の金属粉末を用いた造形を手掛ける業者が大多数を占める中、J・3Dはマルエージング鋼、インコネル、チタンなど複数の素材を取り扱う。4台のプリンターを保有し、高い需要対応力を武器に年々加工実績を伸ばしている。

 数ある鋼種の中、現在では自動車部品用金型などで使われるマルエージング鋼が主力だ。旺盛な引き合いが寄せられる一方、有害物質に指定されるコバルトを含むことから、コバルトレス化を望む声が高まっていた。

 そこで、同社は素材メーカーにコバルトを含まないマルエージング鋼の製造を依頼。別元素を添加し、強度を維持した新成分の粉末の開発に漕ぎ付け、来年から造形を始めることを決めた。

 コバルトレス鋼は自動車業界を中心とする環境対応ニーズの高まりにより、今後の数量拡大が確実視される。これに伴い、今後同鋼種を戦略商品に位置付けて、従来のマルエージング鋼からの切り替えを進める方針。

 同時に、通常では加工しづらいタングステン製品の加工も始める。粉末造形で必要な99%程度の密度を確保しており、まず医療機器や電子機器部品の注文を受け、需要の拡大を図りたい考えだ。

 13年の会社設立以来、同社の加工設備はフル操業が継続。能力不足が長年の課題だが、高関社長は「稼働状況に余裕がある設備の活用など、同業他社との協業を進めて各社の数量増を図りながら、3Dプリント市場の拡大に努めたい」と語った。

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