補強大成功だが、投手陣には課題…支配下登録枠から見る楽天の補強ポイント

楽天・平石洋介監督【写真:荒川祐史】

先発、あるいは勝ちパターンの救援がもう1枚いれば安定する投手陣

 プロ野球もオフシーズンに入り、各球団は来季に向けて戦力を整えている。1軍の試合に出場できる支配下登録選手の枠は上限70人。シーズン中の補強、育成選手の支配下への昇格も想定して、65から68人ほどで開幕を迎える球団が多い。

 70人の枠の中で、どのように戦力編成を行っていくかは、当然ながら球団の方針によって違う。ここでは各球団の現在の支配下登録枠の状況を見て、その球団の補強ポイントを探ってみたい。今回は楽天編。

 現時点で楽天の支配下登録の状況は以下のようになっている。

支配下登録:66人(56人+新人8人+新外国人2人)
・投手35人(新人4人、右投手24人左投手11人)
・捕手7人(新人1人、右打者4人左打者3人)
・内野手13人(新人1人、右打者8人左打者5人)
・外野手11人(新人2人、右打者5人左打者5人両打ち1人)

○投手
 例年、高卒の投手をドラフトで指名する傾向にあり、30代は8人いるものの、高卒の新人2人、20歳~25歳が16人と過半数が若い世代。エースの則本昂大もまだ27歳だが、3年契約が来シーズンオフに切れる。ポスティングによるMLB挑戦を希望していると言われており、則本との2枚看板の岸孝之は34歳。ポスト則本、岸を見据え、新加入の福井優也、美馬学といった30代前半の先発組も元気なうちに手を打っておきたい。

 先発ローテ入りしている20歳の藤平尚真がその筆頭か。近藤弘樹、古川侑利といった20代前半の右腕、結果が出ていない釜田佳直、安樂智大といった選手にも奮起を促したい。守護神の松井裕樹も先発転向の可能性があり、長年ブルペンを支えてきた青山浩二が35歳。昨季まで4年連続60試合登板の福山博之も今シーズンは疲労の色が見え成績を落としただけに、勝ちパターンで使えるリリーフがもう1人いれば、投手陣のやりくりは楽になる。

内外野とも厚くなった選手層 バックアップの中堅どころが補強課題

○捕手
 正捕手の嶋基弘は34歳と高齢だが、バックアップには山下斐紹と足立雄一、プロスペクトに堀内謙伍と新人の太田光、とまんべんなくそろっている。特に国際経験も豊富な堀内の成長に期待。補強するとすれば嶋と併用できる中堅のバックアップ捕手だが、捕手はどの球団も人材難だけに、故障でもあれば緊急補強も考えられるが……。

○内野手
 今江年晶、藤田一也、渡辺直人と30代後半のメンバーが目立っていただけに、今が旬の浅村栄斗を獲得できたのは非常に大きい。ウィーラーも健在で、今季不振だった茂木も巻き返してくるだろう。内田靖人、村林一輝、西巻賢二といったプロスペクトも虎視眈々とレギュラーを狙う。銀次もまだ老け込む年齢ではない。外野手登録の岩見雅紀もルーキーイヤーは2軍で一塁を守ることが多く、台湾のウインターリーグで大暴れ。ぐっと層が厚くなった。

○外野手
 ドラフト1位で辰己涼介を引き当て、今シーズン新人王の田中和基も健在。新外国人ブラッシュの29歳が外野手最高齢と非常に若い外野陣となっている。長打力が期待される田中、ブラッシュに加え、島内宏明、橋本到の俊足タイプの左打者もポジション争いに参戦するだろう。辰己と同年代で、伸び悩み気味のオコエ瑠偉にも奮起を期待したいところだ。

 今オフ、石井一久GMの指揮下で積極補強に出ている楽天だが、浅村と辰己の加入は大成功。内外野の層はぐっと厚くなった。投手陣でも若手の数は十分に確保されている。ポスト則本、岸の先発投手、あるいは勝ちパターンのリリーフが補強のポイントか。しいて言えばバックアップとなる中堅どころの捕手も、もう1人欲しいところ。

 新外国人のブセニッツは150キロ超の速球を持つリリーフタイプということで、ハーマンとの2枚看板がセットアッパー、抑えに回って松井が先発に転向するというのが現時点での構想か。支配下枠には4人の余裕があり、さらに補強するとすれば、かつてのラズナーのように外国人の先発タイプでリリーフにも対応できる投手をもう1枚獲得し、外国人投手3人、野手2人の5人で競争させ、調子によって使い分けることも考えられる。(Full-Count編集部)

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