女医50人に聞いた「すい臓がん早期発見は“尾道方式”が最適」

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女性の体が変化していく40代。健康に不安を抱える年代だが、どこでどんな検査を受けたらいいのか迷う女性は多い。そこで本誌は、40代以上の女医50人に、緊急アンケート。「40代以上の女性が受けておくべき検査」を調査。

がんを早期発見するためには、どんな検査が必要なのか、部位ごとに見ていこう。

大腸、肺に次いで、女性で3番目に“がん死”が多いのはすい臓がんだ。最近女性に増えていて5年生存率が7.5%ともっとも低い。早期発見がむずかしい臓器ゆえに、アンケートでも「親兄弟がすい臓がん」という家族歴がある人は、1~2年に1度、腹部の超音波検査を受けておくべき、という答えが17人に上った。

「超音波検査は、体に害のない楽な検査です。だけど、すい臓は胃の裏にあり、太っている方や、胃にガスがたまっていると小さながんは見えないこともあります」

そう話すのは、大阪がん循環器病予防センター顧問の田中幸子先生。しかし、田中先生らの研究チームは、1990年から約20年間すい臓がんを研究した結果、見逃さないための法則を発見したという。

「(1)すい管が太い、あるいは(2)すい臓に嚢胞(水の袋)がある方は、どちらもない人の約3倍、両方ある方は27.5倍、すい臓がんになりやすいことがわかりました」

すい管は、太ければ超音波検査でほぼ確実に見える。嚢胞もがんよりは見つけやすい。

「(1)(2)に当てはまる人は、MRIや造影CT、すい臓超音波検査などの精密検査を受け、がんがなくても、年に2~3回程度の経過観察検査を受けてもらうことが早期発見につながります」(田中先生)

こうした治験に基づき、すい臓がんの早期発見に取り組む医療機関も増えている。

「広島県尾道市では、地域の病院で腹部超音波検査を受けた患者で、(1)(2)のリスク因子がある方を尾道総合病院に紹介して、精密検査を受けてもらうという“すい臓がん早期発見プロジェクト”が行われています」(田中先生)

このプロジェクトは、“尾道方式”と呼ばれて注目を集めている。尾道市では、この方式を始めてから、すい臓がんの5年生存率が、全国平均の7.5%を大きく上回って約20%に達している。しかし、これを取り入れている医療機関は、まだ一部に限られる。

「検査の際、『昨年の検査で、すい管が少し太いと言われて気になっています』など、検査技師に声をかけておくと、念入りに見てくれると思います」(田中先生)

女性でもっともがん死亡数が多い大腸がん。早期発見すれば完治するがんなのに、死亡数が減らないのは、「検査が受けづらい部位」という事情も。実際に、女性の大腸がん検査の受診率は、乳がんの44.9%に比べても、38.5%と低い(平成28年国民生活基礎調査)。

大腸がん検査といえば、大腸内視鏡検査が一般的になっているが、アンケートでは、自治体でも受けられる便潜血検査(検便)を重視する声が目立った。

大腸肛門が専門のマリーゴールドクリニック(東京都)、院長の山口トキコ先生は、理由をこう説明する。

「便潜血検査は自治体の検査で手軽に受けられます。ただ、便潜血検査では5ミリ~1センチくらいの小さながんがあっても陰性になることが多い。しかし、早期がんが1年で進行がんになることは少なく、毎年受けていれば手遅れになる前に発見できる率が高まります」

ただし、家族に大腸がんの人がいる場合は注意が必要だ。

「家族歴がある方は、毎年の便潜血検査に加え、3年に1度は大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。大腸内視鏡の場合は、ポリープがあれば、その場で切除できますからね」(山口先生)