ロンドン市長、市街地コースでのF1開催に前向きな意見。ロス・ブラウンは慎重姿勢

 ロンドン市街地でのF1グランプリ開催の可能性は、現市長のサディク・カーンが肯定的な意見を述べたことで、後押しされるかたちとなった。今週、市長執務室の広報担当者は以下のように述べている。

「市長は将来ロンドンでレースを開催することは可能だと考えており、彼のチームに対し、F1側と選択肢を調査するよう依頼した」

「ロンドンは世界でも最大で最高のスポーツイベント開催に常に前向きだ。UEFAユーロ2020の決勝から、NFL、クリケット・ワールドカップ、そしてメジャーリーグ野球の開催地となっている」

 ロンドンは市街地サーキットの候補会場として近年しばしば取りざたされてきたが、ウエストミンスターやグリーン・パーク、バッキンガム宮殿周辺でこのようなイベントを開催する計画は、物流面で数多くの障壁に阻まれてきた。

 しかしながらF1のオーナーであるリバティ・メディアは、カレンダーにより多くの市街地レースを追加することに力を入れており、将来的にロンドンでF1レースが開催される可能性は再び高まってきている。

 ベトナムのハノイでは、2020年に市街地でF1を開催する予定となっている。またリバティは、アメリカにおける第二のグランプリをフロリダ州南東部のマイアミ市街地で開催することを今も望んでいる。昨年リバティは、ロンドンのトラファルガー広場でのF1ライブイベントを成功させている。

 しかし、F1のモータースポーツ担当ディレクターを務めるロス・ブラウンは、イギリスの首都中心部でのフルレースの提案について現状では冷静な姿勢を保っており、イベント開催はロンドン市外の方がより実現性が高いだろうとした。

「ロンドンはF1において偉大な歴史を持つ象徴的な都市であり、そこには多いなる熱意がある」とブラウンはLondon Evening Standard紙に語った。

「(しかし)F1は最低でも1週間にわたるイベントであり、ロンドン中心部に混乱を引き起こすようなことは受け入れがたいだろう」

「我々が1週間にもわたってロンドン中心部を占拠することを、ロンドンの住民はあまり心配しなくてもいいと考えている。だが周辺部の状況については調査がなされているところだ。ロンドンの真ん中ではなく、大ロンドンについてだ」」とブラウンは付け加えた。

 フォーミュラEは2015年と2016年にePrixを市内で開催しており、イベントはウエストミンスターからテムズ川を挟んで反対側にあるバタシーパークで行われた。しかしながらコンパクトなコースはF1のレースカーには不向きである。またイベント開催についての諸問題によって、ロンドンは2017年のフォーミュラEカレンダーからも脱落している。

 イギリスGPは2019年で開催地を失うリスクがあるため、ロンドンでのF1のフルイベント開催の可能性は高まってきている。シルバーストンはF1との既存契約に対し解約条項を行使しており、コストの高騰を理由に、満員の観客を集めても開催継続ができないとしている。

 しかしブラウンは、たとえ市街地レースが最終的に実現したとしても、それは現在のイギリスGPの代替とはならないと語っている。

「我々はロンドンがシルバーストンの代わりになるのではなく、補完するものであってほしいと思う。両開催地について、実現可能な道があると言える」とブラウン。

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