(4)アジア大会で県勢健闘 東京五輪へ夢広がる

 8、9月にインドネシアのジャカルタなどで40競技463種目が行われた第18回アジア大会。2020年に東京五輪を控える日本選手団は、史上2番目に多い75個の金メダルを獲得するなど好成績を残した。日の丸をつけた県勢は11人。ほぼ全員が6位以内に入賞する健闘を見せた。

 長崎を最も沸かせたのは、陸上のマラソンで日本勢男子32年ぶりの金メダルをつかんだ井上大仁(MHPS、諫早市出身)と、銀メダルを手にした女子の野上恵子(十八銀行、兵庫県出身)。長崎市を練習拠点とする2人の快挙は、地元に大きな勇気を届けてくれた。

 成果を挙げた夏以降も、井上は11月に1万メートルの自己ベストを27分56秒27まで短縮。野上は10月の福井国体成年女子5000メートルで3位入賞した。来年9月の東京五輪代表選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ」へ向けて、順調に準備を進めている。

 今大会の金メダリストのうち、県勢は井上と、ソフトボール女子で投打の「二刀流」として活躍する藤田倭(太陽誘電、佐世保市出身)の2人。藤田は次期エース候補として評価が高く、2年後は日本チームを引っ張る存在になりそうだ。

 男子ライフル3姿勢銅メダルの松本崇志(自衛隊体育学校、島原市出身)、カヌー・スプリント男子カヤックフォア500メートル4位など2種目入賞した水本圭治(チョープロ、岩手県出身)は、このところ安定して結果を残している。ともに悲願の五輪出場を誓う。

 今後が楽しみな若手も台頭。陸上女子七種競技の山崎有紀(スズキ浜松AC、長崎市出身)は23歳、バスケットボール女子の永田萌絵(東京医療保健大、佐世保市出身)は21歳で、それぞれ銅メダルを獲得した。

 小幡真子(JT、九州文化学園高出身)がリベロを務めたバレーボール女子、濱口直大(トヨタ自動車東日本、長崎市出身)がメンバー入りしたハンドボール男子は、それぞれ4位入賞。バレーボールは既に東京五輪の開催国枠を持っている。

 これまで多くの選手がアジア大会をきっかけに、五輪へ羽ばたいた。2年後の大舞台で、何人の県勢が躍動するのか。夢は広がる。

アジア大会のマラソンでメダルを手にした男子の井上(MHPS、右)と女子の野上(十八銀行)。地元に帰ってきて多くの祝福を受けた=長崎市役所

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