メドベージェワ選手リベンジ! 奮い立たせたタラソワさんの一言

By 太田清

タチアナ・タラソワさん

 ロシア西部サランスクで22日、行われたフィギュアスケートのロシア選手権女子はジュニア勢が表彰台を独占。注目された平昌冬季五輪金メダリストのアリーナ・ザギトワ選手はショートプログラム(SP)首位だったものの、2度転倒してフリーは12位に終わり、合計212・03点で5位となる番狂わせとなった。一方、SPでは14位と「惨敗」した五輪銀メダルのエフゲニア・メドベージェワ選手はフリー4位と巻き返し、7位に食い込んだ。 

 ロシア紙スポルト・エクスプレス(電子版)などによると、浅田真央選手など多くの優秀な選手を育成してきたロシアの名コーチ、タチアナ・タラソワさんはカナダのブライアン・オーサー・コーチとともに同日朝のメドベージェワさんの練習に立ちあい、演技について助言を与えた上で、成功を祈りぬいぐるみをプレゼント、「滑ってきなさい、あなたならできる」と激励した。 

 また、タラソワさんは英語で「背中のためよ」と言いながら医療品が入った包みをオーサー・コーチに手渡した。メドベージェワさんは背部の痛みを抱えているが、同紙はおそらく痛みを取るための医療用の磁気絆創膏が入っているとした。

 タラソワさんはSP演技後にもメドベージェワさんの元を訪れ激励したという。当のメドベージェワさんもフリーの演技後のインタビューで、タラソワさんにふれ「彼女の助言に耳を傾けました。私をとっても奮い立たせてくれた。朝の練習にも来てくれて、見るとリンクサイドに(ともに世界的コーチ)オーサー・コーチとタラソワさんがいる。不思議な気持ちになりました。こうした人の応援が私の中で何かを燃え上がらせてくれた」と語った。 

 メドベージェワさんはまた、SNS上での批判や中傷について「もしかしたら、家庭で問題を抱えていて、その怒りを私に向けてくるような人がいるかもしれないけど、私は『ネットでの中傷をやめさせよう』と書いたプラカードを掲げ集会を開くような活動家ではありません。皆が自分の意見を持っていて、私にはだれかに何かを指図するような権利はありません」と強調した。 

 タラソワさんはメドベージェワさんのフリーの演技後、「何て感動的な瞬間なの。昨日は首を吊って死んでしまいたいような気持だったけど、今日はありえないほどの幸せよ」と興奮しながらコメントした。

 ロシア選手権は、欧州選手権代表選考も兼ねているが、ジュニア勢以外の上位選手を選ぶ決まりとなっており、SPから大幅に順位を上げたとはいえ、メドベージェワ選手が厳しい立場に立っていることに変わりはない。 (共同通信=太田清)

© 一般社団法人共同通信社