(6)福井国体41位に後退 「チーム長崎」再び結束を

 男女総合(天皇杯)優勝した2014年長崎国体からわずか4年。本県の天皇杯順位は15年以降、17、28、24位と推移して、今秋の福井国体で41位に沈んだ。40位台転落は1998年以来、20年ぶり。あのビッグイベントが残したものは何だったのか、と再考させられる結果となった。

 入賞数は団体優勝した山岳成年女子ボルダリングの原田朝美・大河内芹香組(長崎国際大・西九州大)をはじめ、計16競技46種目。目標だった「20位台前半」に相当する24位だった昨年と比べて21種目も減った。

 九州ブロック大会、少年勢、団体競技-。複数の不振が重なった。地区予選となる「九州ブロック大会」の突破数は、昨年の25競技58枠から21競技47枠に減少。本番で入賞が有望視されていた種目の敗退もあった。

 気掛かりなのは少年勢の落ち込み。本番で獲得した競技別得点325点の内訳は、成年が155・5点(昨年222点)、少年が169・5点(同318点)。企業が少なく、成年選手の活動が難しい本県に必要不可欠な若い力の活躍が、例年よりも目立たなかった。

 競技別得点の配分が大きい団体の入賞が伸び悩んだのも響いた。九州ブロック大会を含めて組み合わせに恵まれなかった競技も多かったが、格上を破って上位入賞した剣道少年女子のようなチームが少なかった。

 九州では今後、2020年の鹿児島から、佐賀、宮崎と3年ごとに国体が開催される。各県の強化が進み、九州ブロック大会はさらに激戦になるだろう。また、20年東京五輪に向けて全国的に競技レベルが向上。成年勢からは「勝つのが難しくなっている」という声も上がっている。

 それでも、優勝者を出した山岳、陸上、レスリング、複数入賞したカヌー、重量挙げ、毎年のように好チームをつくってくるバレーボール、ソフトボール、アーチェリーなどは結果を出し続けている。それぞれの競技団体が地元国体以降も「地道な強化」を継続している成果である。

 ここに少年勢の競技力を向上させるための指導者の適正配置、成年選手の受け皿確保など、県や企業の積極的な支援を加えれば、おのずと好成績は望めるはずだ。

 このまま低迷が続くようでは、長崎国体の財産は水泡に帰す。それぞれが真摯(しんし)に足元を見つめ直して、もう一度「チーム長崎」として結束することが求められる。

山岳成年女子ボルダリングで優勝した原田・大河内組(長崎国際大・西九州大)。山岳勢は国体に重点を置いて強化を続け、結果を出している=福井県池田町特設会場

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