第4回室民まち・ひと活力大賞を知里森舎が受賞

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 室蘭民報社の「まち・ひと活力大賞」の第4回受賞者に登別・NPO法人知里森舎(横山孝雄理事長)が選ばれた。アイヌ文化を広く知らせることを基本方針に、アイヌ神謡集を編さん・翻訳した知里幸恵をはじめアイヌ民族の先人たちの生涯や業績を伝え、関心を持つきっかけづくりになる事業の実施が評価された。表彰式は来年1~2月に本社で行う。

 同法人は知里幸恵銀のしずく記念館(登別市登別本町、金崎重彌館長)の運営や各地での講演会開催を通して、幸恵の功績やアイヌ文化を広める活動を続けている。会員は約40人。同館の運営は会費や入館料で賄い、ボランティアスタッフ約10人が来館者の受け付けや案内業務に当たる。また毎年9月開催の知里幸恵フォーラムは、公共財団法人アイヌ民族文化財団から30万円余りの助成金を受けて運営している。

 大賞は室蘭民報社の創刊70周年を記念し、地域貢献事業として2015年(平成27年)に創設した。西胆振の発展、まちおこしに尽力する個人・団体をたたえ、顕彰している。これまでに写真家・山口一彦さん、ふくろう文庫代表の山下敏明さん、NPO法人伊達メセナ協会が受賞している。

「若い世代に伝えたい」

 同法人は1997年(平成9年)に設立され、2007年に法人格を取得した。00年、02年に市内外で開いた幸恵の功績をたたえる展覧会が好評を博し、幸恵のめいである故横山むつみ前理事長が「幸恵の古里登別でいつでも功績に触れられる場を」と呼び掛けたのが、知里幸恵銀のしずく記念館(10年設立)の始まり。建設に当たって、趣旨に賛同した全国の約2500人から計3300万円ほどの寄付金が寄せられた。

 同館にはアイヌ神謡集をはじめ、幸恵や弟・真志保、伯母・金成マツにちなんだ手紙や日記帳などの貴重な資料が数多く展示されている。今年の来館者は1500人を超えている。

 同法人はアイヌ語ゆかりの地名巡りや、知里幸恵フォーラム、講演会にも力を入れている。今年4月からは、全10回の連続学習会を開いており、幸恵や横山むつみ前理事長が残した思いに触れている。

 来年は真志保の生誕110周年。「館での資料展示を通じて、幸恵とともに真志保の功績を発信できたら」と金崎館長。「20年は開館10周年の節目。新たな連続学習会も企画していきたい」と展望を語る。

 今年は小学校の道徳の副読本に幸恵の功績が取り上げられた。また、幌別、幌別西小の児童、明日中等教育学校の生徒らが同館見学に訪れた。森川副理事長と金崎館長は「若い世代に関心を持ってもらえるよう、さらに活動に力を入れていきたい」と笑顔を見せる。

 副賞の20万円は、知里幸恵フォーラムや館の展示の充実に充てる予定という。20年の白老町での民族共生象徴空間オープンと併せ、さらなるアイヌ文化発信が期待される。(西川悠也)

【写真=「受賞を機にアイヌ文化普及へ一層力を入れる」と話す森川慎介副理事長(前列右から2人目)、金崎館長(3人目)と会員ら(上)、再来年設立10周年を迎える知里幸恵銀のしずく記念館の館内と金崎館長(下)】