11年間育ててきた息子が、他人の子だったら…

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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第538回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、12月22日に公開されたばかりの『いつか家族に』を掘り起こします。

中国の大ベストセラー小説、待望の映画化!

現代中国を代表する作家、余華(ユイ・ホア)。長編・短編小説やエッセーなど、その作品群は多岐にわたり、なかでも2017年に日本でも刊行されたエッセー集「中国では書けない中国の話」は、中国社会が抱える矛盾を軽妙洒脱に語った書籍として注目を集めました。

そんな余華によるベストセラー「血を売る男」を、朝鮮戦争後の激動の韓国に舞台を移して映画化した『いつか家族に』が日本で公開となりました。

原作「血を売る男」は、出版されるやいなや中国で大ベストセラーに。その後、日本をはじめ、韓国、台湾、アメリカ、イギリス、ブラジル、ドイツ、イスラエルなど世界中で翻訳・出版されています。

様々な国から映画化のオファーがあるなか、国や時代背景を変えて映像化が認められたのは、この『いつか家族に』のみ。その理由について、余華氏は「ずっとハ・ジョンウ氏の作品を追いかけていたし、彼なら(本作の)主役にぴったりだと思ったから」と語っています。

本作で監督・主演を務めるハ・ジョンウは、韓国映画界の第一線で活躍する俳優。この小説に出会ったとき、すぐにこの作品と主人公に魅了されたとか。原作者とも相思相愛!? まさにハ・ジョンウ渾身の一作が誕生しました。

1953年、朝鮮戦争の終戦直後。現場仕事で生計を立てるサムグァンは、ポップコーン売りの美しい女性オンナンに一目惚れ。彼女にはハ・ソヨンという金持ちの恋人がいることを知りながらも、プロポーズする。

11年後、彼らは長男のイルラクをはじめ3人の子宝にも恵まれ、貧しいながらも幸せに暮らしていた。しかし11年間育てた長男が、実は他人の子どもではないかという、妙な噂が流れ出す。疑いを晴らすべく、イルラクに血液検査を受けさせたサムグァンだったが、結果は無情にもハ・ソヨンの子どもだということが判明。

サムグァンは事実を受け入れられず苦しむが、イルラクはサムグァンを父と慕い続け…。

大工仕事の傍ら、自分の血を売ることで家族を支える男の葛藤、父としての成長、そして家族のつながりを描いた本作。そこには物質的な豊かさでもお金でもない“大切なもの”が、家族の温もりとともに描かれています。号泣必至、血よりも濃い家族の物語です。

いつか家族に
12月22日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほかにてロードショー
監督:ハ・ジョンウ
脚本:キム・ジュホ、ハ・ジョンウ
原作:「血を売る男」余華(河出書房新社)
出演:ハ・ジョンウ、ハ・ジウォン、ナム・ダルム、チョ・ジヌン、ユン・ウネ
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公式HP http://www.finefilms.co.jp/kazoku/

八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。
機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。
初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。
トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com