放射性物質濃度 茨城県内8割が基準値以下も… 指定廃棄物、処分進まず

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■住民反発懸念、保管続く

東日本大震災の東京電力福島第1原発事故で飛散した放射性物質を含む指定廃棄物の処理が、茨城県内で進んでいない。ごみ処理施設など県内14市町15カ所に3535トン(9月末現在)の一時保管が続く。環境省による2016年の放射性物質濃度再測定結果で、自然減衰で約8割が指定廃棄物基準値の1キロ当たり8千ベクレルを下回り、一般ごみ同様の処分が可能となったが、1年半以上たった今も未処分のまま。反発する住民感情を考慮し、処分場が受け入れ基準値を厳しく設定し「行き場がない」(保管施設)。指定廃棄物の行方は見通せない。(報道部・三次豪)

■厳しい設定

厚いコンクリートの壁に囲まれた保管庫で、ブルーシートが掛けられて約60トンの飛灰が山積みになっている。県南地域にある保管施設では、保管する飛灰は放射性物質濃度が指定廃棄物基準値を下回ったが、最終的な処分先が見つからず行き場を失っている。

「受け入れ先があればドラム缶などに移そうかと考えているが、現状では保管を続けるしかない」。同施設の担当者は静かに語る。

同施設の一般ごみは、委託する四つの処分場で溶融処理や埋め立て処分されている。国の基準値8千ベクレルを下回った廃棄物は一般ごみ扱いだが、委託先の処理施設は震災後、国の基準値の4分の1の2千ベクレルと、独自に基準値を厳しく設定した。一般ごみ扱いになったとはいえ、もともとは指定廃棄物。受け入れれば、埋め立てなどの不安から地元住民の反発を受ける可能性は高い。担当者は「ここだけではない。受け入れ先がないのは、今どこも同じ状況だろう」と説明する。

■飛散・流出対策

指定廃棄物は、福島県と10都県に計約21万2800トン(9月末現在)。国は各都県で処分する方針だが、これまでに処分場が決定したのは福島県のみ。放射性物質濃度が基準値を下回った廃棄物を、通常のごみと同様に処理するための国への指定解除申請は、千葉、山形、宮城の各県内の自治体で出されているが、まだまだ多いとはいえない。

一方、茨城県では16年2月に環境省が、県内1カ所に処分場を造る当初の方針を転換。茨城県の指定廃棄物は放射性物質濃度が比較的低いことなどから、分散保管の継続が認められた。同時に、自然災害によって廃棄物が飛散、流失するのを防ぐための保管庫強化策が講じられている。

■自然衰退

茨城県の指定廃棄物の約8割が基準値をすでに下回っており、15カ所の保管施設のうち、保管する廃棄物全てが基準値以下となっているのは6カ所。環境省の将来推計では、再測定時(16年)に612・3トンあった茨城県の基準値超え廃棄物は、自然減衰によって放射性物質濃度が27年には0・4トンまで減少する見込み。
一方で基準値を下回る廃棄物を処分場に移せず、抱えたままとなってしまう保管施設も増えていきそうだ。

廃棄物の保管が長引く現状に、環境省特定廃棄物対策担当参事官室は「放射能濃度が基準値以下になったからといって、一気に指定解除をとる動きになるのは難しい。少しずつでも取り組みが広がるよう、地域とコミュニケーションを取って情報共有したりして、国としてできることをやっていく。なかなか一足飛びとはいかない」と話す。

★指定廃棄物

2011年3月11日の東日本大震災による東京電力福島第1原発事故で、大気中に放出された放射性物質が広い地域に移動・拡散し、雨などで地表や建物、樹木に降下。この放射性物質で汚染された、ごみの焼却灰や浄水発生土、下水汚泥、稲わら、堆肥などのうち、放射能濃度が1キロ当たり8千ベクレルの基準値を超える廃棄物。