「“いざ”というときの心理学」と題した関東学院大学主催の講座が22日、横浜市中区で開かれた。登壇した同大の細田聡社会学部教授(行動科学)が参加者約65人を前に、災害や事故といった緊急時における人間の心理や行動を解説した。
細田教授は、緊急時における人間の特性には「感覚の変容」や「思考の短絡化」といったさまざまな現象があると説明。ホテル火災で救出されたある被災者は、18階にいながら「骨折しても命は助かるかもしれない」との感覚に陥り窓から飛び降りようとしたといい、「まともな思考回路ではなくなった」とその体験を紹介した。
一方で、緊急時に抱く恐怖心や焦りは必ずしも否定されるものではなく、「危険回避信号」として捉えることができ、避難につながる効果があるという。
また、地震発生時などは、目の前の異常事態を正常の範囲内と判断する『正常性バイアス』を強く持つ人もいることから、「こうした人たちに避難を促すことも重要」と強調した。