監督突如辞任も、カブレラ&ローズ、2桁4投手でCSへ…2008年のオリックスは

オリックス監督退任後はメッツで指揮官を務めたテリー・コリンズ氏【写真:Getty Images】

コリンズ監督が突如辞意を表明も…大石監督代行が率いて充実した打線で2位に

 10年ひと昔という。10年前の野球界はどんな様子だったのか。2008年の野球界を数字で追いかけよう。今回は、オリックス・バファローズだ。

2008年 オリックス・バファローズ 75勝68敗1分 勝率.524 2位

 1999年に3位になって以降、8年間もBクラスが続いていたオリックスだが、久々に2位になった。

 シーズン当初は不振が続く。テリー・コリンズ監督は、5月20日のロッテ戦(東京ドーム、0-6で敗戦)のあと、突如辞意を表明。大石大二郎ヘッドコーチが監督代行になった。この時点で10勝17敗。しかし大石監督代行になってからは徐々に投打がかみ合うようになり、7月から3か月連続で勝ち越し、9月に入って負けが込んだ首位西武に迫り、最終的には2.5差の2位となった。プレーオフ時代を含めて初めてのCS進出となったが、第1ステージで日本ハムに0勝2敗と敗れた。

○打線 左端の数字は打順、打率の横の()は順位

1外・坂口智隆(24歳) 142試540打150安2本32点13盗 率.278(19)
2外・村松有人(36歳) 83試234打62安1本16点4盗 率.265
3一・カブレラ(37歳) 138試504打159安36本104点2盗 率.315(5)
4指・ローズ(40歳) 142試499打138安40本118点2盗 率.277(20)
5三・北川博敏(36歳) 105試343打91安13本49点4盗 率.265
6捕・日高剛(31歳) 134試417打112安13本47点1盗 率.269(23)
7二・後藤光尊(30歳) 115試410打117安14本57点13盗 率.285(16)
8外・下山真二(33歳) 123試356打96安10本44点3盗 率.270
9遊・大引啓次(24歳) 88試275打71安3本26点1盗 率.258
外・濱中治(30歳) 85試217打55安9本29点0盗 率.253
三・塩崎真(35歳) 92試153打34安1本6点0盗 率.222
外・小瀬浩之(23歳) 58試130打34安1本19点7盗 率.262
内・一輝(27歳) 48試139打41安5本20点1盗 率.295
内・阿部真宏(30歳) 55試119打26安0本9点1盗 率.218
三・ラロッカ(36歳) 26試89打15安1本9点0盗 率.169

 この年のオリックス打線の売りは「強力助っ人打線」。タフィ・ローズ、グレッグ・ラロッカにアレックス・カブレラも加わった。ラロッカは故障のために活躍できなかったが、ともに55本塁打というNPB記録(当時)をもつカブレラとローズは強烈な存在感を示した。ローズは118打点で打点王、ベストナイン。カブレラもベストナイン、ゴールデングラブを受賞した。

 さらにコリンズ監督は坂口を1番に抜擢。坂口は広い守備範囲でゴールデングラブを受賞。充実した打線だったといえよう。

小松&金子&山本&近藤が2桁勝利、抑えの加藤は最多セーブを記録

○投手陣 防御率の横の()は順位

先・小松聖(27歳) 36登15勝3敗0SV3HD 172.1回 防御率2.51(3)
先・金子千尋(25歳) 29登10勝9敗0SV0HD 165回 防御率3.98(17)
先・山本省吾(30歳) 30登10勝6敗0SV2HD 154.2回 防御率3.38(8)
先・近藤一樹(25歳) 25登10勝7敗0SV0HD 149回 防御率3.44(10)
先・中山慎也(26歳) 10登2勝3敗0SV0HD 44.2回 防御率6.45
先・岸田護(27歳) 12登4勝1敗0SV1HD 67.1回 防御率2.94
先・オルティズ(35歳) 17登4勝7敗0SV0HD 82回 防御率5.82
中・川越英隆(35歳) 51登2勝3敗0SV13HD 74.1回 防御率4.00
中・本柳和也(32歳) 58登2勝7敗0SV11HD 70.2回 防御率4.20
中・香月良太(26歳) 32登4勝0敗0SV8HD 46.1回 防御率3.11
中・山口和男(34歳) 34登4勝3敗0SV4HD 43.1回 防御率3.53
中・菊地原毅(33歳) 55登0勝3敗0SV19HD 42.1回 防御率2.98
抑・加藤大輔(28歳) 63登2勝5敗33SV1HD 63回 防御率3.29

 小松、金子、山本、近藤の4本柱がそろって2桁勝利。安定感のあるローテーションを組んだ。救援陣は防御率3点前後の選手が多く、優秀とは言えなかったが、クローザーの加藤大輔は33セーブで最多セーブとなった。

 この顔ぶれでは、野手陣では坂口、大引が今も現役。投手陣では金子、近藤、岸田が現役。金子と岸田以外は他球団に移籍。金子も今オフに日本ハムに移籍した。

○ドラフト会議

1位 甲斐拓哉(投手)東海大学付属第三高
2位 伊原正樹(投手)関西国際大学
3位 西勇輝(投手)菰野高
4位 高島毅(内野手)青山学院大学
5位 西川雅人(投手)愛媛マンダリンパイレーツ

 監督代行から正式に監督となった大石監督が出席。長野県の東海大三高の甲斐拓哉を単独1位指名する。今を時めく「甲斐キャノン」こと甲斐拓也と1字違いだがこちらは投手。しかし、故障もあって1軍登板なしで戦力外となった。3位指名の西勇輝がローテーションに定着。金子千尋に次ぐ先発投手として活躍。今オフに阪神にFA移籍が決まった。

 この年以降、ポストシーズンに進出したのは2014年だけ。オリックスは12球団で唯一、CSファイナルステージに進出したことがない。補強の方針が定まらず、毎年のように球団の方向性が変わる。その傾向は今も続いているといえよう。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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