平成とともに「年賀状じまい」 終活背景、人付き合いもスリムに

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プリントショップで印刷済みの年賀はがきを買い求める人=神戸市中央区(撮影・中西大二)

 「平成最後となる本年をもちまして、年始のごあいさつを失礼させていただきます」-。来年の新天皇即位で元号が変わるのに合わせ、長年続けてきた年賀状のやりとりをやめる「年賀状じまい」をする高齢者が増えている。人生の終盤に向けて準備する「終活」が広まる中、次の時代は人付き合いもスリムにしたいとの思いがあるようだ。(広畑千春)

 「もう潮時やね」と話すのは、神戸市西区の元教員の男性(78)。2019年の年賀状で「これで最後」と伝え、20年からはごく親しい人に絞って出すことにしたという。

 現役時代は学校関係者や教え子らと200枚以上の年賀状をやりとりした。12月に入ると図柄を考え、休日は朝から家庭用簡易印刷機「プリントゴッコ」(2012年に事業終了)で印刷。和室はインクを乾かすため並べたはがきで埋まった。正月は届いた年賀状の枚数を家族で競争。ダントツの1位が誇らしかった。

 だが退職から20年が過ぎ、年賀状の枚数は年々減少。すでに亡くなった教え子もいる。「この年になるとつらい知らせも多い」と嘆く。

 同市長田区の女性(80)は、19年の年賀状は親しい人だけに出すことに決め、印刷済みのものを10枚だけ購入した。年賀状を出さないことは、特に知らせなかったという。「年賀状じまいは仲間うちでも話題で、数年前から考えていた。傘寿を迎え、平成も最後だし、良い機会かな」と話す。

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 メールや会員制交流サイト(SNS)の普及に伴い、来年の年賀状の当初発行枚数は前年比7・2%減の約24億枚に。過去最高だった03年度からほぼ半減した。印刷を請け負う神戸市内のプリントショップなどでは「平成最後」をPRするが、はがき料金が1枚62円に値上がりした影響もあってか注文は伸び悩む。

 代わりに目立つのが、ごく少数を送るため印刷済みの年賀はがきを買い求めるケース。「パレットプラザさんちか店」(神戸市中央区)の佐村誼(よしみ)店長(28)は「年賀状じまいのためと言って次々と買われる。これまでなかった光景」と話す。

 インターネット上には年賀状じまいの文面を紹介するサイトが並び、手紙の書き方講座などでも文面や出し方に関する相談が増えているという。一般社団法人「手紙文化振興協会」(東京都)代表理事のむらかみかずこさんは「儀礼的に誰もが当然出すものから、人付き合いのツールの一つに変わってきた。新しい年を機に、相手との関わりや自分の生き方を見つめ直してみては」と話す。