出土品急増で収蔵庫パンク寸前に ホテル開発ラッシュの京都

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埋蔵文化財を保管している伏見水垂収蔵庫。収容スペースがひっ迫し、廊下などにも出土品があふれている(京都市伏見区)

 京都市内で近年急増している埋蔵文化財の発掘調査に伴い、出土品の収蔵庫が容量超えになる懸念が高まっている。保管する遺物を絞り、施設内の廊下を置き場にして急場をしのいでいるが、収容可能なスペースの使用率は9割を超える。温度・湿度の管理など機能性や、耐震性に課題を抱える現状もある。

 市内の発掘調査では、平安京をはじめとした古代や中近世、近代の地層が積み重なり、各年代の土器や瓦、木簡、金具、礎石などが出土する。仮にこれらが他地域に持ち運ばれ、「発見」されたことになれば、歴史を改ざんしてしまう。このため文化財保護法では自治体に収蔵が義務付けられており、廃棄や譲渡売却は簡単ではない。

 市などによると、市内に8施設ある収蔵庫では計21万5千箱を収容できるとみているが、2018年末で既に約20万箱に達している。

 ホテルやマンションの開発を背景に、発掘調査の件数は15~17年度に年間50件前後にのぼり、出土品もハイペースで増えている。近年は保管対象を将来の指定文化財候補と、準ずるものに絞っているが、それでも年3千箱前後増える見通しで、25年までに全施設で容量を超える見込みだ。

 加えて、いずれの施設も出土品の劣化を防ぐ恒温・恒湿を保つ設備はなく、政令市の中では劣悪な保存環境にある。耐震性能を備えているのも伏見区の伏見水垂収蔵庫1カ所だけにとどまっている。

 こうした状況に対し、元市埋蔵文化財研究所職員で京都産業大の鈴木久男客員教授は「発掘調査では、研究や発信に役立てる写真や図面も膨大に作ってきたが、こうした考古記録の保管や継承も課題だ」と指摘。「出土品を含めた文化財の活用は保存との両輪で取り組むべきもので、収蔵庫は保存において重要な役割を果たしている。容量や機能が全国的な課題になりつつある今、国や自治体、調査団体が協議し、対応を考える時期に来ている」と警鐘を鳴らす。