<レスリング>【2018年全日本選手権・最終日/特集】優勝選手の声

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(2018年12月21日、東京・駒沢体育館/取材=布施鋼治、曽祢真依、熊木玲佳)


 ■男子フリースタイル65kg級・乙黒拓斗(山梨学院大=世界王者奪取後の初の大会で全日本初優勝)「優勝できて素直にうれしい。(世界選手権での足首の負傷で)全日本大学選手権を棄権し、テーピングして練習していて、まだ満足するくらいの練習はできていない。それでも今大会はいつも通りの自分の動きができた。次はもっと攻めていきたい。

 2018年は、いいことばかりではなかったけど、日々の練習をひたすらやって、全日本選抜選手権、世界選手権、全日本選手権を取れた。来年に向かってまた頑張りたい。(日本男子最年少世界王者という肩書きは)そんなに気にならないので、プレッシャーはない。2020年はすぐやってくる。今できる準備をして、東京オリンピックで優勝できるようにしたい」


 ■男子フリースタイル79kg級・阿部侑太(日体大=全日本学生・大学のタイトルには縁がなかったが、全日本選手権で優勝)「4年間、結果が出ない学生生活だったので、最後の試合で結果を出せて、先生や応援してくれた人たちに少しでも恩を返すことができた。(決勝は)コーチから『最後まで攻めたら絶対お前が強いから』と言われたので、その言葉を信じて、攻める姿勢を曲げなかったことが勝ちにつながった。(大会を通じ)グラウンドからのアンクルがしっかりできた。

 日体大としては、リーグ戦の優勝を落としてしまったが、両スタイルの大学選手権で団体優勝をすることができた、後輩たちにあと1大会(年間3大会優勝)を託せるよう、自分が最後に頑張れたと思う。来年は世界選手権の代表を取り、(世界選手権の段階で)オリンピックの代表が決まっていなければ階級を変えて闘おうと思っています。非オリンピック階級で世界のレベルを感じてから、階級を上げるか下げるかしっかり考えたい。自分をここまで育ててくれた高校の恩師の先生にもとても感謝している。(親には)今まで迷惑をかけてきて、これからもかけると思うが、レスリングで日本一になったことを、胸を張って伝えたい」


 ■男子グレコローマン60kg級・文田健一郎(ミキハウス=ライバルに快勝して2年ぶりの日本一)「去年のこの大会から昨日まで、本当にずっと悔しかった。結果として1年間の努力を出すことができてホッとしている。この1年が無駄ではなかったと実感した。(決勝では)常に自分の技を取りにいくことは意識していたけど、勝ちにこだわった。

 2日間ともリミットの計量になり、初めてにしてはしっかりできた。考えたよりも体は動いていた。今年は、とても苦しかった。もうこんな年はない方がいいな、というくらい…。(苦しかった1年の支えになったのは)やはり目標。2020年東京オリンピックという目標があったからこそ、腐らず、自分なりに精いっぱいやってくることができた。来年は世界選手権で優勝して権利を持ってくることしか考えていない。『2020年は文田が獲るな』と世界の誰もが言うような自分を見せられたらなと思う」


 ■男子グレコローマン82kg級・岡嶋勇也(警視庁=グレコローマンに転向してから、全日本選手権の順位を4位、3位、2位、1位と上げる)「ホッとした。でも、最後スタンドで点数を取ったあと、ローリングを1回しか返せなくて悔しかった。指や頭をあおったりするのを注意されたので冷静さを失った面もあるけれど、とりあえず第六機動隊の皆さんに恩返しできてよかった。

 準決勝の相手は2ヶ月前に負けた相手(北村公平)だったので、正直ビビッていたところもあった。今回は非オリンピック階級だったが、次はオリンピック階級に出てそこで勝負したい。階級を上げるか、下げるかは、秘密です。オリンピック出場を目指して頑張りたいので、応援よろしくお願いします」


 ■女子50㎏優勝・入江ゆき(自衛隊=世界チャンピオンは欠場したが、2年連続優勝を達成)「次に向けて頑張りたい。決勝は無駄に点数をやらないことを意識しました。一番のヤマ場は(22日に行われた登坂絵莉との)準決勝だったと思います。(世界チャンピオンの須﨑優衣が欠場したことについて)闘ったら闘えたでよかったけど、いないならいないで、私が優勝しようと思っていました。次は(須﨑に)勝って優勝したい」

 


 ■女子53kg級・向田真優(至学館大=世界選手権優勝の55kg級から移って優勝)「今年を振り返ると、辛いこと、苦しいことが多かったけれど、そのような困難も乗り越え自信にして、今回の優勝につなげられた。(8―6まで追いつかれた試合展開について)あそこで下がってしまって最後に逆転されることが多かったが、(そんな自分を)絶対に変えたいという意識があった。(最後まで耐えられた理由は)オリンピックで金メダルを取るためにきつい減量を乗り越えてきたので、無駄にしたくないという思いと、日ごろたくさんの方々にサポートしていただいているので、恩返しできるようにという思いからです。

 オリンピックがかかった大会だったので、一人ひとりがいつも以上の思いで臨んできて、いつもやっている相手でも勢いを感じた。今回の優勝はすごく大きいものだった。(世界チャンピオンの奥野春菜選手の欠場があったが)今回は誰が相手でも自分の力を120パーセント出すことが目標だった。相手にこだわらず、自分のレスリングを出し切って優勝することにこだわった。無駄にしないよう、次もしっかり勝って来年の世界選手権、そしてオリンピックで金メダルを取りたい」


 ■女子57kg級・伊調馨(ALSOK=予選リーグで負けた川井梨紗子にリベンジして優勝)「本当にいろいろな、複雑な気持ちがあるけれど、それを上回るくらい素直にうれしい。(初戦黒星からの切り替えについて)今は自分の方が挑戦者。川井選手はオリンピックが終わってから日本を引っ張ってきている選手。実力が上がってきているのも1回戦で分かった。挑戦者という気持ちでどんどん展開を作っていこうと考えながら、1日過ごした。本当は(決勝の)最初からどんどん行きたかったけれど、川井選手のディフェンスの強さもありますし、自分の勇気のなさ、まだ戻っていないところもあって、なかなか攻め切れなかった。ただ最後は気持ちの部分もあった。

 2年のブランク、そして100パーセントまで戻し切れていない中で勝てたことがよかった。(全日本選手権での優勝は)本当に大きな一歩だと思うので、無駄にしたくない。自分の中でまだまだ上げていくところはたくさんある。2日間闘った中で、少しずつ自分のレスリングが戻ってきている感覚もある。全日本選抜選手権に向けて海外遠征や全日本合宿が入ってくる。体力も技術もまだまだ上げていけると思っているので、感覚を全て戻した上で進化していきたい。まずは今日の反省をしっかりすることから始めて、来年の計画をしっかり立てながらオリンピックを見据えてやっていきたい」


 ■女子68kg級・土性沙羅(東新住建=負傷の手術から復帰して8年連続8度目の優勝)「4月に肩の手術をして、ここまで100パーセントのレスリングができていなかった。不安もあったけれど、全体に勝つ気持ちで臨み、優勝できたのでよかった。内容的には駄目なところばかりだけど、今回の試合は内容にこだわらず結果にこだわっていた。自分から攻めることはできなかったが、優勝できてよかった。

 とはいえ、試合内容には満足していない。私の武器はタックルだけど、タックルで点を取ることができない試合になってしまった。肩をしっかり治療して、次の試合では120パーセントで攻めるレスリングを出せるようにしたい。2018年は苦しい年だった。最後に優勝できて最高の締めくくりになった。来年は、世界選手権3位以内でオリンピック代表が決まる大事な年。全部勝てるようにしたい」