8人の日本を代表する内野手が米挑戦も高い壁…MLB日本人内野手の歴史

Wソックスでワールドシリーズ制覇に貢献した井口資仁【写真:Getty Images】

広島・菊池もメジャー挑戦を表明、過去の選手たちの実績は点

 広島の菊池涼介内野手が来オフのポスティングシステム(入札制度)によるメジャー挑戦の意思を球団に伝えた。ただ、現在、メジャーリーグでプレーしている日本人内野手はいない。MLBでは、驚異的な身体能力を誇る内野手が超人的な守備を連発し、さらに打撃面でもチームに貢献できる選手が重宝される。

 日本人選手にとっては険しい道となるが、これまでに多くの内野手がNPBからメジャーに移籍し、高い壁に挑んできた。その“歴史”を見ていこう。

○松井稼頭央(2004~2010)

通算(7年):630試合2302打数615安打32本211打点102盗塁 打率.267 OPS(出塁率+長打率).701

 西武時代は7年連続ベストナインやトリプルスリーなど、日本を代表する遊撃手として鳴らした松井稼は、28歳の2003年オフ、FA権を行使して西武からメッツに移籍。1年目はケガの影響もあり114試合の出場にとどまったが、新人王投票で6位となった。しかし、遊撃守備の評価が低く、2年目からは二塁手に転向した。最多出場は2009年の132試合。二塁手として打撃は及第点だったが、2桁本塁打、打率3割を1度も記録できないなど、日本時代のような圧倒的な成績は残せなかった。2010年オフに楽天と契約し、日本球界復帰を果たした。

○中村紀洋(2005)

通算(1年):17試合39打数5安打0本3打点0盗塁 打率.128 OPS.350

 31歳の2004年オフ、ポスティングシステムを利用して近鉄からドジャースに移籍、マイナー契約を結ぶ。日本で1度の本塁打王、2度の打点王を獲得するなど、日本球界屈指の長距離打者だったが、MLBではマイナーでの出場が主となった。3Aでは22本塁打を放ったが、メジャーでは17試合の出場にとどまり、本塁打はなかった。シーズン終了後、オリックスと契約し、日本球界に復帰した。

現ロッテ監督の井口は初年度にワールドシリーズ制覇

○井口資仁(2005~2008)

通算(4年):493試合1841打数494安打44本205打点48盗塁 打率.268 OPS.739

 30歳の2004年オフ、自由契約を選択してダイエーからホワイトソックスに移籍。日本では2001年に30本塁打、毎年20本塁打を記録できる長打力を持つ強打の二塁手だった井口は、1年目から正二塁手として打率.278、15本塁打、71打点をマーク。チームの88年ぶりとなるワールドシリーズ制覇に貢献し、新人王投票でも4位に入った。2007年途中にフィリーズへトレード移籍。2008年に所属したパドレスでは打率.231と不調で、ケガをきっかけに9月に解雇。最後は世界一に輝いたフィリーズでプレーした。シーズン終了後、ロッテと契約した。

○岩村明憲(2007~2010)

通算(4年):408試合1545打数413安打16本117打点32盗塁 打率.267 OPS.720

 28歳の2006年オフ、ポスティングシステムを利用してヤクルトからデビルレイズ(当時)に移籍。MLB挑戦前の3年間連続で3割30本を記録した強打の三塁手は、1年目は本職でプレーも、球団名がレイズに変わった2年目の2008年からは若き主砲エバン・ロンゴリアにポジションを空けるため、主に二塁を守った。本塁打数こそ激減したが、レイズでの3年間で打率.281、出塁率.354を記録。2008年はチームリーダーとして若いチームを牽引してワールドシリーズ進出に貢献した。2009年には守備時にランナーと交錯し、前十字靭帯を部分断裂する不運なケガがあったものの、シーズン終盤に復帰。しかし、同年オフにトレードでパイレーツに移籍してから打撃不振となり解雇された。その後、アスレチックスでもプレーしたが、同年オフに楽天と契約、日本球界に復帰した。

○西岡剛(2011~2012)

通算(2年):71試合233打数50安打0本20打点2盗塁 打率.226 OPS.503

 26歳の2010年オフ、ポスティングシステムを利用してロッテからツインズに移籍。移籍前年度には206安打を放ち、首位打者(.346)に輝くなど俊足好打の遊撃手として日本一に貢献していた。正二塁手として開幕を迎えるも、開幕直後に守備でランナーと交錯して左足を骨折するケガに見舞われて離脱。復帰後も打率.226、OPS.527と打撃が上向かず、68試合の出場にとどまった。2年目は3Aでのプレーがほとんどで、打率.258と苦しむ。2年目はメジャーではわずか3試合の出場に終わり、オフに阪神と契約した。

マイナー契約・川崎、田中はMLB昇格を果たす

○川崎宗則(2012~2016)

通算(5年):276試合633打数150安打1本51打点12盗塁 打率.237 OPS.609

 30歳の2011年オフ、FA権を行使してソフトバンクからマリナーズに移籍。マイナー契約から開幕メジャーを勝ち取り、1年目は主に遊撃手として61試合に出場するも、打率.192、0本塁打に終わった。2年目はブルージェイズとマイナー契約を結び、3Aとメジャーを行き来する日々が続いた。しかし、底抜けの明るさでムードメーカーとしてチームを引っ張り、トロントでは超人気者に。2016年にはカブスに所属し、ここでもムードメーカーとなってワールドシリーズ制覇に貢献。2017年開幕直後に古巣ソフトバンクに復帰した。

○中島宏之(2013~2014)

通算(2年):MLB出場なし

 30歳の2012年オフ、FA権を行使して西武からアスレチックスに移籍。1年目はスプリングトレーニングから不振を極め、負傷もあって3Aでの出場が主となり、メジャー出場はなかった。3Aでは90試合に出場、打率.283、4本塁打、OPS.698。2年目は開幕を3Aで迎えるも、12試合で打率.128、OPS.402とスランプに陥り、2Aに降格。シーズン終盤には左手を骨折する不運もあった。結局、メジャー出場は叶わないまま、2014年オフにオリックスと契約、日本球界に復帰した。

○田中賢介(2013~2014)

通算(2年):15試合30打数8安打0本2打点2盗塁 打率.267 OPS.620

 32歳の2012年オフ、FA権を行使して日本ハムからジャイアンツとマイナー契約。1年目の開幕は3Aで迎えるが、3割を大きく上回る打率を残し、シーズン途中でメジャー昇格。8安打を放ったが、守備位置はすべて内野手ではなく左翼手としての出場だった。2014年はレンジャースとマイナー契約を結ぶが、メジャー昇格はならず、オフに日本ハムと契約した。(Full-Count編集部)

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