コーヒー市場は爆発寸前 AIで経営モデル変える

インタビューに応じる瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)の共同創業者の郭謹一(共同)

 中国で店舗網を急拡大する新興コーヒーチェーン、瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)の郭謹一副総裁は、中国のコーヒー市場が爆発的に成長する寸前にあると指摘する。人工知能(AI)やビッグデータを活用した経営モデルで米大手スターバックスに挑む。 (北京共同=大熊雄一郎)

 ―中国のコーヒー市場について。

 「日本や韓国、台湾、香港で1人当たりのコーヒーの飲用は年間約200杯だが、中国ではたったの4杯。北京、上海、深圳などの大都市でも10杯程度で、コーヒー業界が爆発的に成長する可能性がある」

 ―ラッキンはなぜ投資家を魅了したのか。

 「店舗を重視する伝統的な経営手法を打破し、ビッグデータを活用する新たな経営モデルを打ち出した。高品質で利便性が高く、費用対効果の良い商品を実現したことが投資家に認められた」

 ―どのように急拡大を実現させたのか。

 「AIのような先端技術を使って絶えず改良を続けている。システムが品物の増減を管理し、自動的に発注を行うので、店長は翌日に果物やコーヒー豆などが何箱届くのかすら知らない」

 ―なぜスタバを訴えたのか。

 「コーヒー市場は長年にわたり独占状態で、ほかのブランドに発展の余地がなかった。スタバはテナント側と、ほかのブランドを排除する排他的な契約を結んでいた。宣伝のための提訴ではない」

 ―費用対効果の良い商品をどうやって実現。

 「最高級の原材料にこだわる一方、AIを活用することで人件費を抑えた。会員制交流サイト(SNS)の普及で交流方法が変わり、社交の場としての店舗は必ずしも重要ではなくなったので、一等地にこだわらない。人がコーヒーを探しに行くのではなく、コーヒーが人を探しに行くイメージだ」

 ―現金を受け取らず、専用アプリでの決済という形にしたのはなぜ。

 「アプリを通じて顧客の消費習慣、性別、注文の時間や場所などを記録できる。今後は顧客のニーズに合った商品を打ち出せる。アプリはわれわれと顧客をつなげるプラットフォームだ」

 ―日本など海外進出は。

 「考えていない。中国の市場はまだ十分に大きい。また、この経営モデルは海外で通用するとは限らない」

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 1981年生まれ。北京交通大博士。交通運輸省での勤務を経て、現職。

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