決まらないキンブレルの新天地 最大の懸念材料は制球力

2010年のメジャーデビュー以来、通算542試合に登板して333セーブ、防御率1.91、WHIP0.92、奪三振率14.67をマークしているクレイグ・キンブレルは、間違いなくメジャー最高のクローザーの一人である。しかし、フリーエージェントとなったキンブレルの新天地はまだ決まっていない。これにはキンブレルが総額9600万ドルという大型契約を希望していたことのほかに、各球団がキンブレルの制球力の低下を懸念していることが関係しているようだ。

MLBネットワークのジョン・ヘイマンによると、キンブレルは自身の市場が動かないことを憂慮して、希望条件を総額9600万ドルから1000万ドルほど下落させたと見られている。ところが、キンブレル争奪戦における各球団との交渉が本格化した様子は見られず、各球団は揃って「様子見」を続けている状況だ。

ブリーチャー・レポートのダニー・ノーブラーは、キンブレルが2011年以降、平均65試合に登板して防御率1.97、奪三振率14.55という素晴らしい成績を残していることを紹介し、キンブレルが希望条件に相応しい活躍を見せてきたと主張。特に、速球とスライダーの2球種で空振りを取ることができる点を絶賛し、「彼は打つことのできないボールを2種類持っている」というナ・リーグの某スカウトのコメントも紹介している。

その一方で、ノーブラーはキンブレルの制球力に対する懸念を表明。与四球率5.09に終わった2016年に続いて、今季も与四球率4.48と制球に苦しむ場面が目立ち、特にポストシーズンでは大荒れだった。30代に突入し、今後は球威の衰えも懸念されるなか、制球力を維持することは一流のクローザーとして活躍していくうえで必要不可欠。MLBネットワークのジム・メモーロは「スカウトたちはキンブレルの制球力が以前のレベルまで回復しないのではないかと心配している」と語っている。

キンブレルが制球難に苦しみ、今年のポストシーズンのような不甲斐ないピッチングを続けるのであれば、総額9600万ドルの価値がないことは明白。制球力に対する懸念を払拭できないまま今季を終えたキンブレルにとって、厳しいオフシーズンとなっている。

© MLB Advanced Media, LP.