フードプラスHD 新社長 矢崎精二氏 内部固め 独自の食文化を

 レストラン庄屋などを展開するフードプラス・ホールディングス(HD、佐世保市)の代表取締役社長に今月就任。同社は14日付で外食事業の全ての株式を、投資会社キャス・キャピタル(東京)に譲渡し、新体制となった。ファミリーレストラン大手、ロイヤルホストの前社長として、どう手腕を発揮していくのか。抱負や事業展開などを聞いた。(聞き手は佐世保支社・後藤洋平)

 -抱負を。
 企業にとっての原点を理解することから始める必要がある。表面だけを見てあれこれ変えるというより、原点や考え方をたたき込みながら現場を見て対応していきたい。「おいしさと豊かさの未来へ」のスローガンについても、具体的にどう現場で表現するのかを自分なりに考えていきたい。

 -店の印象は。
 この仕事を引き受けた最大の理由は、現場が明るく元気だったからだ。そして料理がおいしい。「庄屋」をはじめとして、地元に密着し愛されているとの印象を受けた。中村信機会長が積み重ねてきた誠実な取り組みがあったからだろう。

 -今後の事業展開や、力を入れていく部分は。
 出店数を争って拡大するのではなく、内部を固める。次のステップに成長させるためには、ホールディングスとしての本社機能を強化しなければならない。従業員の教育やメニューの効率性など、内部オペレーションの整理を今後進めたい。フードプラスにしかできない食文化をきちんとつくり上げていく。来客数を増やし、生産性を向上させ、改善できた部分はお客さまに価値として提供し、従業員にも還元する。企業としての価値を高めていきたい。

 -株式上場に向けては。
 財務や人事、コンプライアンスの面など、厳正な規律が求められる。上場するのは大変なことで、簡単にはできない。できれば、もちろんやりたい。将来的な夢としては持っておきたい。ただ、今の段階で目標とするには時期尚早と思う。まずは自分の経験を生かし、少しでも働きやすい会社にしたい。
 -全株式を譲渡し、「地元企業ではなくなるのでは」との懸念の声もあるが。
 創業の地である佐世保を大切にしたい。福岡に営業拠点を設けるかもしれないが、佐世保を離れることは全くない。
 
【略歴】やざき・せいじ 1951年、福岡市生まれ。関東学院大経済学部卒。74年にロイヤル(現ロイヤルホールディングス)入社。2011年から17年までロイヤルホスト代表取締役社長を務めた。

「創業の地である佐世保を大切にしたい」と語る矢崎社長=佐世保市卸本町、フードプラス・ホールディングス

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