子どもたちを笑顔に~プロサッカー選手によるチャリティサッカースクール

広島や岡山を中心とした西日本豪雨。被害を目にし、「サッカーを通じて広島を笑顔に!」とプロジェクトを立ち上げたのが、橋本英郎選手(東京ヴェルディ)、佐藤寿人選手(名古屋グランパス)、そして、サッカーが好きな子どもの成長を応援するサイト『soccer MAMA』だ。

この思いに賛同したプロサッカー選手22人が広島に集結。「西日本豪雨災害支援! チャリティサッカースクールin広島」が、12月15、16日に開催された。

かねてからチャリティ活動を行っている橋本選手は、今回の災害を知り「サッカー選手として何かできないか」と考え、佐藤選手に相談。東日本大震災を経験し、復興祈念チャリティサッカーを行ったこともある佐藤選手は、「今でも家がある広島は、12年間プレーしたクラブでもあり、僕にとって特別な場所。オフの日に、安佐北区で土砂撤去などを行いました。かつて応援してもらった広島で、今度は僕がサッカー選手として元気付ける番ではないか」と思ったそう。

橋本選手(左)と佐藤選手(右)

この二人が発起人となり、『soccer MAMA』チャリティサッカースクールの開催が決定。12月11日まで、サカママサイトからチャリティサッカースクール開催費用の支援金を募った。選手の交通費などを引き、広島テレビ 西日本豪雨災害「がんばろう!広島」募金委員会を通して、広島県の復興・復旧に役立てられる。また、1月31日まで、「西日本豪雨災害支援! チャリティグッズ支援プロジェクト」も開催中だ。

12月15日、広島経済大学フットボールパーク(広島市安佐南区)を会場に、チャリティサッカースクールが行われた。午前の部、午後の部に、抽選で選ばれた年中から小6までの子ども約100人がそれぞれ参加した。

開場と同時に駆けつける参加者たち。その中に、被災地の中でも被害が大きかった坂町から来た子どもたちもいた。

坂町で練習する「FC坂ジュニア」からは、6人が参加した。

川上康弘コーチは「災害後は、練習どころではありませんでした。メンバーの中には、避難所生活を送った子もいます。練習場所は現在も土砂の集積場所になったままです。災害直後は練習は休みを余儀なくされ、土日はメンバーやその保護者、卒団したOBたちが集まって、被災したメンバー宅にボランティアに行きました。子どもたちの通学路の完全復旧はまだですし、山の上のほうは手つかずのところもあります」と振り返る。

そんな中で、チャリティサッカースクールの開催は、メンバーの大きな楽しみとなった。
「今日は、遠方から集まってくれたプロ選手たちとの時間を楽しんでもらいたい」

FC坂ジュニアのメンバーの一人、事前に避難し、自宅の電気や水道が止まったことで1週間の避難所暮らしを経験した古川瑞己くん(小5)。「サッカーは仲間と楽しめるのがいいところ。FC坂ジュニアは、チームワークのいい、最強のチームだと思います」

瑞己くんの母親は「チームの皆さんに手を貸してもらったことで、『仲間っていいな』と思ったはずです。私も、フリマの協力などできる範囲で復興支援をしていきたいと思っています」と話してくれた。

学生時代はサッカーをプレーしていたという古川崇さん(東広島市)は、妻と大翔くん(小4)と来場。「サカママサイトをいつもチェックしています。プロと触れるイベントに参加できるということで、子どもがとても喜んでいます」と期待する。

年長からサッカーを始め、現在はミッドフィルダーを務める大翔くんは「東京ヴェルディのファン。今日のイベントをとても楽しみにしてきました」と笑顔。

チャリティサッカースクールは、選手入場からスタート。参加者の拍手の中、発起人の橋本選手、佐藤選手に続き、元・広島(現・浦和)の森脇良太選手、李忠成選手、西川周作選手、槙野智章選手や、広島の森崎和幸選手、森崎浩司アンバサダーなど、20人のプロサッカー選手、元選手が登場した。

グループ分け後、的に見立てた三角コーンに向けてボールを蹴り、当たった回数を競った。選手から「ナイス!」「惜しい」などと声が掛かる。

幼い子どもと同じ目線で話し掛ける橋本選手。

うまくいったら、森崎和幸選手とハイタッチ!

「今日は僕たちプロ選手の姿を見て、ぜひプロを目指してほしい」とあいさつした西川選手。「良いキックの連続に、思わず火がついて本気になっちゃいました」と笑顔。

真剣に走って真剣にゴールを狙う槙野選手の姿が、子どもたちの目に映る。

発起人の佐藤選手は、ひときわ大きい声で子どもたちを指導。肩を組んでもらった子どもの笑顔が印象的。

優しく幼児チームを指導した森崎浩司アンバサダー。終始、キッズたちに囲まれていた。

年代別に分かれてのミニゲーム。ナイスプレーも飛び出し、充実した時間を過ごした子どもたちはみんな笑顔。プロ選手と一緒にプレーしたひとときは、子どもたちのよい思い出となったことだろう。

最後に橋本選手が「サッカーを通じて、楽しい時間が過ごせました。これからも継続して開催できたらと思っています」とあいさつし閉会。参加者からも、観覧席からも、選手にあたたかい拍手が送られた。

この日選手からもらったパワーは、大切な思い出とともに、きっと復興の力になる。子どもたちの笑顔がそう教えてくれた。

 

いまできること取材班
取材・文 門田聖子
写真・動画 堀行丈治

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