BSL4訴訟 長崎大は争う姿勢 住民、情報開示徹底訴え

 長崎大が長崎市の坂本キャンパスに設置を計画している感染症研究施設「バイオセーフティーレベル(BSL)4」について、病原体の入手方法や事故発生時の避難計画などが開示されず「知る権利」などが侵害されているとして、周辺住民や市民らが長崎大、長崎県、長崎市に情報開示を求めた訴訟の第1回口頭弁論が25日、長崎地裁(土屋毅裁判長)であり、長崎大は訴え却下や請求棄却を、長崎県、長崎市は請求棄却をそれぞれ求め、争う姿勢を示した。

 訴状によると、BSL4施設から病原体が漏れると、住民に感染して体に危害を生じさせる恐れがあると主張。長崎大、長崎県、長崎市は住民の避難計画などを示しておらず憲法上の幸福追求権や人格権、知る権利が侵害されているとしている。

 周辺住民ら約2千人でつくる「BSL4施設計画の差し止めを求める会」の山田一俊代表は意見陳述で、ウイルスの種類や事故時の避難経路、補償内容などが明らかでないとして「最高度に危険な病原体を扱う施設を住宅地(周辺)に建設するなら徹底的な情報開示が必要」と訴えた。

 大学側は答弁書で、憲法や法律上の根拠などが明らかでないとして訴え却下を求めた。またBSL4施設から出る空気や物は無害化処理などをすることから「拡散して感染を起こす可能性は現実的には想定されない」などと反論した。

口頭弁論の前に開いた集会でBSL4施設の建設反対を訴える原告ら=長崎地裁前

© 株式会社長崎新聞社