MINI COOPER D CROSSOVER ALL4. 試乗│走破性と実用性を備えた使い勝手の良い1台

MINI クロスオーバー COOPER D ALL4 ボディーカラー:アイランドブルー

アクティブなライフスタイルを送る人のためのMINIクロスオーバー

このところ輸入車の販売好調が伝えられる中、MINIも2018年の年間販売台数が昨年を上回りそうな勢いを見せており、相変わらず絶好調だ。単一ブランドながらドイツの4強に次ぐ5位が定位置となっていて、月によっては4位のアウディを逆転することもあるというほどだからたいしたものだ。

そんなMINIの中でも、ファミリーの一員としての可愛らしさとSUVとしての逞しさを兼ね備えたクロスオーバーのデザインはもちろん、高い実用性と充実した装備、オン/オフを問わない走行性能などマルチな才能を持ち、アクティブなライフスタイルを送る層の支持を受けているのがMINI クロスオーバーだ。

アイランド・ブルーにブラック・ボンネット・ストライプを配した撮影車両のカラーコーディネートの雰囲気も上々。MINI純正アクセサリーのアディショナルLEDヘッドライトを付けると、よりクロスオーバーらしさを演出することもできる。

スペーシャスで、ファミリーユースにも向いているMINI

MINI クロスオーバー COOPER D ALL4 ボディーカラー:アイランドブルー

インテリアもMINIならではの空間が構築されていて、乗るたびにワクワクしそう。

MINIファミリーで最大のボディサイズに加えて、サイドウィンドーの角度が立っているので、シートに収まるとサイズ以上に広さを感じる。

後席もヒップポイントが高めで見晴らしがよいことに加えて、ヒール段差も十分にあるので太腿の裏側がシートから浮くこともない。横方向も余裕があり、平均的な成人男性の体格である筆者が座っても頭上にコブシが縦にひとつ入る空間が残るほどの広さが確保されている。

MINI クロスオーバー COOPER D ALL4 ボディーカラー:アイランドブルー

また、40:20:40分割可倒が可能なリアシートは、細かいピッチのリクライニングも可能で、好みのポジションをとりやすい。センター部を倒して幅の広いアームレストにもできるし、スノボのような長尺物を積んでも4人がゆったりと乗れるなど、とても重宝しそう。

ラゲッジ・スペースも十分に広く、タイヤハウス後方がえぐられているのでゴルフバッグも横向きに載せられるし、フロア下からひょっこり現れる二人がけのソフトなピクニック・ベンチは、バンパーを保護するカバーも含まれる。

また、ベタ付けではなく脚のあるタイプのルーフ・レールも、いろいろなものを装着しやすいので使い勝手に優れる。

このクラスになみいるほかのクルマたちと比べても、実用性はけっこう高いほうなんじゃないかと思うほどだ。ファミリーユースにもっとも向いているMINIに違いない。

低回転域から力強く、胸のすく加速感

MINI クロスオーバー COOPER D ALL4 ボディーカラー:アイランドブルー

走りの実力もかなりのものだ。今回持ち込んだ「Cooper D ALL4」には、150ps/の最高出力と、330Nmの最大トルクを1750-2750rpmというよく使う回転域で発生する2リッター直4ディーゼルが与えられている。

ドライブするとスペックのとおり低回転域から力強く、軽く踏み増すだけで胸のすく加速を味わわせてくれる。それでいていまどきのクリーンディーゼルらしく、音や振動が抑えられていてあまり不快に感じないところもポイント高い。

上にはさらに高性能版の「Cooper SD」や別格的な「JCW」もラインアップするが、「Cooper D」でも十分に満足できる性能を身に着けていることをお伝えしておこう。

MINIだと侮るなかれ!ALL4ならダート路もなんのその

MINI クロスオーバー COOPER D ALL4 ボディーカラー:アイランドブルー

さらにMINIクロスオーバーには、小柄なほうのハッチバックのMINIでは選べない「ALL4」と呼ぶ4WDモデルが用意されていることにも注目だ。

今回は冬の訪れを控え、その走破性を確認するために富士山麓の林道を目指した。このあたりは公道でもこんな感じのダート路がけっこう残されている。

そこで編集担当氏に外から見てもらいながら、クルマを傷めそうな深い場所は避けて、ガンガンではなくごく普通に走らせてみた。

多少の凹凸もへっちゃらな心強い走破性

MINI クロスオーバー COOPER D ALL4 ボディーカラー:アイランドブルー

「ALL4」は前輪駆動を基本に、状況に応じて前後の駆動トルクを無段階式に分配するというシステムだ。滑りやすい路面などでトラクションが失われ、前輪のグリップが不十分になった場合には、最大100%のエンジン出力を後輪に配分させることもできる。

砂利の路面はけっこう滑りやすかったが、アクセルを踏んだとおり、前でひっぱりながら、後ろからも応答遅れなく押してくれる感覚があるので、しっかり確実に前に進んでいく。

最低地上高が165mm確保されているので多少の凹凸はへっちゃらだ。この日も、えっ、ここ!? と思うような場所も問題なく踏破できてしまった。どうしても空転してしまう箇所では、ダイナミック・トラクション・コントロールをOFFにして勢いをつけてやれば大丈夫だった。これからの季節、この走破性は実に心強いことはいうまでもない。

オンロードではもちろん「ゴーカート・フィーリング」

MINI クロスオーバー COOPER D ALL4 ボディーカラー:アイランドブルー

一方でオンロードではMINIの一員らしく、かねてからの「ゴーカート・フィーリング」と呼ばれる俊敏なハンドリングを楽しめるのも、このクルマならでは。それに加えて件の「ALL4」がオーバーステアやアンダーステアの可能性を察知すると、状況に合わせて素早く駆動力の一部をリアに配分することで、コーナリングのスタビリティを最適に保ってくれる。高いトラクションと操縦安定性のもとでダイナミックなコーナリングを実現しているのもMINIクロスオーバーの強みだ。

MINI クロスオーバー COOPER D ALL4 モータージャーナリストの岡本幸一郎さん

それでいて直線路などでの通常走行時には、駆動トルクはフロントに100%伝達され、必要になったときだけ自動的に後輪にも分配するので、4輪駆動における燃費の低下も最小限に抑えられる。ドライバーは何も気にすることなく、クルマ側でもっとも効率的な走行を実現してくれるわけだ。

ユニークなデザインに敏捷性と安定性を兼ね備えたフットワーク、経済的で力強いクリーンディーゼルに、頼もしい4WDと、さらには先進的な安全運転支援システムやコネクティビティと、多くの魅力的な要素を身に着けたMINIクロスオーバーに、あらためてホレ直した次第である。

[筆者:岡本 幸一郎 撮影:土屋 勇人]

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