強毒「ヒアリ」横浜港で営巣か 定着阻止へ防除・調査

土中への出入りが確認されたヒアリ=10日、横浜港・本牧ふ頭D突堤(横浜市環境創造局提供)

 横浜港で南米原産の強毒アリ「ヒアリ」が見つかった問題を巡り、本牧ふ頭(横浜市中区)でヒアリが営巣している可能性があることが12日、分かった。市が地中の穴を出入りしている複数のヒアリを確認。環境省などと連携して調査と防除を徹底し、水際での定着を阻止する構えだ。

 市環境創造局などによると、本牧ふ頭D突堤コンテナヤードの側溝内で10日、列をなした働きアリが土の中を出入りする様子を確認した。側溝のふたは固定されており、地中にいる集団の数量や構成、女王アリの有無は不明という。

 市は環境省と協力し、ヒアリが確認された地点を中心に殺虫餌や粘着わなを設置。地上の働きアリの動きから、地中にいる集団の規模を推定して防除する方針だ。羽を持つ女王アリは繁殖力が強く、別の場所で新しい巣を作る可能性もあることから、女王アリの存在に備えて発見地点から半径2キロ内に範囲を広げて調査することも検討する。

 国内では、陸揚げされたコンテナに紛れて海外からヒアリが侵入するケースが後を絶たない。4日には、中国から横浜港を経由したコンテナを受け取った神奈川県小田原市の業者が内部にアリがいることに気付き、横浜市に通報、ヒアリと判明した。このコンテナは5月31日から6月4日まで本牧ふ頭D突堤に置かれており、市は8日までに複数の粘着わなで捕獲。小田原から戻されたコンテナが置かれた南本牧ふ頭を含め、計約300匹が見つかった。

 本牧ふ頭では2017年、市内で初めてヒアリが確認されている。市港湾局は10日、周辺の市民利用施設に注意喚起した。環境省は「日常の市民生活では過度に恐れず、心配があれば『ヒアリ相談ダイアル』=電話0570(046)110=に相談してほしい」と話している。

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