平成最後の初日の出、見られるか 気象予報士の最新予測

 もう十数年前になるのだろうか。僕は当時の彼女と静岡県浜松市の砂丘に初日の出を見に行った。厳しい寒さだったことだけを覚えている。「出てきた太陽が生卵の黄身のようにゆらゆらと見えた」と、今でも横にいてくれているその「彼女」は先日懐かしそうに語ってくれた。

 

買い手を待つしめ飾り(長野県松本市、筆者撮影)

 平成最後の年末年始である。全国的にどのような天気の傾向なのだろうか? 気になる方も多いだろう。やっぱり平成最後の初日の出は見たいと思う。

  なぜか毎年、年末年始は強い寒気が襲来してくるという記憶がある。NHK総合テレビ「ゆく年くる年」でも毎年かなりの積雪になった神社仏閣が放映されるような気がする。平成最後の年末年始もご多分にもれず、大陸側から冷たい空気が流れ込んでくる見込みだ。

  年末年始の日本付近は、西高東低の冬型の気圧配置となる日が多く、北日本を中心に寒気の影響を受ける見込みだ。冬型の気圧配置が強まるピークが2回あり①12月27日~28日②1月5日~6日となっている。①の期間は平地でも雪が降ると言われている上空1500m付近で氷点下6℃を下回るような非常に強い寒気の南下を予想している。北日本から西日本の日本海側では大雪になったり、太平洋側でも愛知県・岐阜県などでも雪雲が流れ込んで積雪となったり、交通機関に大きな影響がでるような条件である。

  2019年は1月4日が金曜日となっており、4日をお休みにされる方もいるかもしれない。故郷からのUターンを4日~6日にする方も多いと思うが、②にあたる強い冬型の気圧配置となり、北日本や日本海側を中心に大雪になる可能性がある。2018年12月14日には、気象庁が特別警報や緊急発表を出すような異例の大雪の際の大規模な立往生を防ぐため、全国13区間を対象にしたタイヤへのチェーン装着を義務づける国土交通省の省令が施行された。それら区間を通らなくても冬用タイヤのほかにチェーンも準備しておいたほうがいいかもしれない。

 各地の天気傾向の詳細は以下の通りだ。

 ◇北海道~九州の日本海側 北日本を中心に寒気の影響を受けるため、北日本や山沿いでは大雪の恐れがある。大雪による車の立ち往生が毎年のように発生している。車での外出は、最新の気象情報や交通情報の確認が必要。気温は北日本で平年並みか低いが、北陸以西では平年並み。

 ◇北海道~九州の太平洋側 乾燥した晴れの日が多い。寒気の影響を受ける北日本太平洋側は平年並みか低いが、関東以西は平年並みかやや低め。空気が乾燥して火災の起こりやすい気象条件が続くため火の取り扱いには十分な注意を。

 ◇奄美・沖縄(南西諸島)くもりや雨の日が多い。気温は暖かな空気に覆われるため平年並みか高い。

  平成最後の31年の初日の出は東日本から西日本太平洋側では期待できそうだが、かなり強い寒気の影響で雲の隙間から見える可能性が大きいだろう。日本海側の各地ではしんしんと降る雪を眺めることになる見込み。

  日の出直後に太陽がゆらゆら揺らめいているように見えるのは、蜃気楼(しんきろう)と同じ現象。空気の下層は海水に温められ密度が小さく、上層は冷たい空気で密度が大きいままであるため、密度の異なるところで屈折や反射が起き、ゆらゆら見えるという仕組みである。

 (気象予報士・高森泰人)

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