巨人の大型補強は優勝に結びつくのか? FAダブル獲りは過去8度、翌年Vは…

来季から巨人を再び指揮する原監督【写真:Getty Images】

今オフは丸と炭谷をFA市場で獲得し、9度目のW獲りとなった巨人

 2018年も残りわずかとなった。平成最後のペナントレースはセ・リーグを広島が3年連続で、パ・リーグを西武が10年ぶりに制した。日本一の座に立ったのは、パ・リーグ2位のソフトバンク。クライマックスシリーズ(CS)で西武に“下剋上”を果たし、日本シリーズでも広島を破って2年連続で頂点に立った。

 4年ぶりにセ・リーグ制覇を目指した“球界の盟主”巨人は67勝71敗5分の借金4で3位。球団ワーストタイとなる4年連続でリーグ優勝を逃した。CSでは2位のヤクルトを打ち破りファイナルステージに進出したものの、広島に敗れてシーズンを終えた。

 新たな時代となる2019年、原辰徳新監督の下で5年ぶりのリーグ優勝が至上命令となる巨人。それに向けて、このオフは大型補強を敢行している。丸佳浩外野手、炭谷銀仁朗捕手をFA市場で獲得。FA選手のW獲りは球団史上9度目となる。2人のほかにも、マリナーズを退団した岩隈久志投手、オリックスを自由契約となった中島宏之内野手、そして新助っ人としてクリスチャン・ビヤヌエバ内野手の入団が決まっている。さらには、守護神候補として新たな外国人投手の補強も目指していると伝えられる。

 12球団の中でも群を抜く積極補強を続ける巨人だが、これまで大補強を敢行した翌シーズンはどんな成績を残したのか。今オフと同じくFA選手を2人以上を獲得した年の補強を振り返り、翌シーズンの成績を見てみたい(育成入団、シーズン途中入団は除く)。

○1994年 優勝&日本一→1995年 3位
川口和久投手(FA、広島)
広澤克実内野手(FA、ヤクルト)
J・ハウエル内野手(ヤクルト)
S・マック外野手(ツインズ)
阿波野秀幸投手(トレード、近鉄)

「10・8」決戦を制してリーグ優勝し、日本一にも輝いた1994年。オフには川口、広澤をFAで獲得し、これが初のW獲りとなった。さらに、ヤクルトを自由契約となったハウエル、新外国人マックと契約したほか、トレードで阿波野も加入。“30億円補強”と呼ばれたが、故障者などもあり、終わってみれば、リーグ3位に終わった。

○1999年 2位→2000年 優勝&日本一
工藤公康投手(FA、ダイエー)
江藤智内野手(FA、広島)
河本育之投手(トレード、ロッテ)
鄭ミンチョル投手(韓国ハンファ)
D・メイ投手(阪神)

 2位で終わり3年連続V逸となった1999年オフは、ダイエーから工藤、広島から江藤のFAW獲りに成功。さらには、阪神からメイを獲得する大型補強を敢行した。「ミレニアム打線」と命名された打線が威力を発揮。松井が2冠王に輝き、江藤も32本塁打。工藤とメイが12勝ずつを挙げるなど補強が当たり、リーグ優勝、日本一となった。

2005年と2006年は2年連続でFA選手のダブル獲り

○2005年 5位→2006年 4位
野口茂樹投手(FA、中日)
豊田清投手(FA、西武)
J・パウエル投手(オリックス)
G・グローバー投手(ブルワーズ)
実松一成捕手(トレード、日本ハム)
小坂誠内野手(金銭トレード、ロッテ)
J・ディロン内野手(マーリンズ)
李スンヨプ内野手(ロッテ)
古城茂幸内野手(トレード、日本ハム)
大西崇之外野手(金銭トレード、中日)

 リーグ5位に終わった2005年。そのオフに原辰徳監督が2度目の就任を果たし、大補強に乗り出した。FAでは野口と豊田をW獲りし、オリックスのパウエル、ロッテの李も獲得。金銭トレードでロッテから小坂、新外国人としてグローバー、ディロンも補強した。だが、主力に故障者が続出したため、シーズン中盤に大苦戦。一時は最下位に転落し、最終的には4位に終わった。

○2006年 4位→2007年 優勝
小笠原道大内野手(FA、日本ハム)
門倉健投手(FA、横浜)
吉武真太郎(人的補償、ソフトバンク)
L・ゴンザレス内野手(ロッキーズ)
小田嶋正邦内野手(トレード、横浜)
谷佳知外野手(トレード、オリックス)
大道典嘉外野手(無償トレード)
D・ホリンズ外野手(デビルレイズ)

 2006年に球団史上初の2年連続Bクラスとなる4位に終わり、2年連続で大補強を敢行。小笠原、門倉と2年連続でFA選手のW獲りに成功した。新外国人でゴンザレス、ホリンズを加え、トレードで谷も獲得。門倉やゴンザレスは期待に応えられなかったものの、小笠原が打率.313、31本塁打88打点、谷も打率.318と活躍し、リーグ優勝を果たした。CSでは中日に敗れ、日本一は逃した。

○2011年 3位→2012年 優勝&日本一
村田修一内野手(FA、横浜)
杉内俊哉投手(FA、ソフトバンク)
S・マシソン投手(フィリーズ)
真田裕貴投手(横浜)
D・ホールトン投手(ソフトバンク)
中谷仁捕手(楽天)
石井義人内野手(西武)
エドガー・G内野手(カブス傘下)
高口隆行内野手(人的補償、ロッテ)
J・ボウカー外野手(フィリーズ)

 2011年は3位で優勝を逃し、オフに大型補強。村田と杉内をFAで獲得し、2006年以来5年ぶりにW獲りに成功した。さらには、新助っ人としてマシソンとボウカー、ソフトバンクから自由契約のホールトンなども獲得。杉内とホールトンが12勝をマークし、リーグ優勝と日本一に輝いた。

2016年オフには初のFA“トリプル”補強に成功

○2013年 優勝→2014年 優勝
大竹寛投手(FA、広島)
片岡治大内野手(FA、西武)
C・セドン投手(SKワイバーンズ)
井端弘和内野手(中日)
L・アンダーソン外野手(レイズ傘下)

 リーグ優勝を果たしが日本シリーズで敗れた2013年。オフに大竹と片岡の2人をFAで獲得し、セドンとアンダーソンの助っ人を補強。中日を自由契約となった井端も獲得した。シーズン中にもセペダやメンドーサを補強。助っ人で際立つ成績を残した選手はいなかったものの、2年連続でリーグ優勝。だが、CSで阪神に敗れた。

○2014年 優勝→2015 2位
相川亮二捕手(FA、ヤクルト)
金城龍彦外野手(FA、DeNA)
M・マイコラス投手(レンジャーズ)
A・ポレダ投手(レンジャーズ)
吉川大幾内野手(戦力外、中日)

 リーグ2連覇を果たしながら、2年連続でCSで敗退した2014年。オフには相川と金城をFAでW獲り。マイコラス、ポレダを加え、中日を戦力外となった吉川大も獲得した(堂上が育成で加入)。シーズン中にフランシスコやカステヤーノスも補強したが、奏功せずに2位に終わった。

○2016年 2位→2017年 4位
森福允彦投手(FA、ソフトバンク)
山口俊投手(FA、DeNA)
陽岱鋼外野手(FA、日本ハム)
吉川光夫投手(トレード、日本ハム)
A・カミネロ投手(マリナーズ)
C・マギー内野手(タイガース)
柿澤貴裕内野手(トレード、楽天)
石川慎吾外野手(トレード、日本ハム)

 高橋由伸監督が就任した2016年に2位に終わり、オフには森福、山口俊、陽岱鋼と史上初のFAトリプル補強に成功。さらにはカミネロやマギーも獲得し“30億円補強”と言われた。だが、FAで獲得した3人が結果を残せずに、前年を下回る4位に転落した。

○2018年 3位→2019年 ?位
丸佳浩外野手(広島)
炭谷銀仁朗捕手(西武)
岩隈久志投手(マリナーズ)
中島宏之内野手(オリックス)
C・ビヤヌエバ内野手(パドレス)

 巨人史上で9度目となるFAでのW獲り(1度はトリプル獲り)に成功した今オフ。過去の8度で優勝に結びついたのは、ちょうど半分の4回、これを含め前年より順位を上げたのが5回。あとの3回は前年よりも順位を下げた。3度目の原辰徳監督体制となる2019年はどうなるか? 来季の巨人に注目だ。(Full-Count編集部)

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