盗撮常習者、高学歴の会社員多く

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盗撮常習者の特徴

 盗撮を繰り返すのはどんな人物なのか。常習者の再犯防止に向けた治療に取り組む専門家は、大卒で会社勤め、働き盛りの20~30代の男性が多いという分析結果を説明する。「盗撮をして捕まると仕事や家族を失うことになる。それでも繰り返してしまう」。分析からは、性的欲求を満たすという身勝手な動機に加え、「社会的な死」と隣り合わせのスリルを求めて盗撮を繰り返す依存症的実態も浮かび上がる。

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 大森榎本クリニック(東京)で精神保健福祉部長を務める斉藤章佳さん(39)=精神保健福祉士、社会福祉士=は、2006年5月から18年6月までに受診した盗撮常習者406人の傾向を分析した。30代が40%で最多となり、20~30代が全体の7割以上を占めた。約半数は会社員。全体の62%は大学や大学院に進学している高学歴者だった。福井県警が今年摘発した29件でも30代が11件で最多。20代が7件だった。

 分析から浮かび上がる動機は、興味本位やストレス発散、スリルだ。

 「盗撮に成功すると達成感があってやみつきになった」。靴に仕込んだ動画撮影機能付きの小型カメラをスマートフォンで無線操作し、女性のスカート内を盗撮したとされる会社員の男(42)は、今月福井地裁で開かれた公判でこう述べた。過去に盗撮で2度の罰金刑を受けていたが「捕まったのは運が悪かっただけという気持ちがあった。見つからないだろうと思ってやった」と供述。「見つからなければ相手の人は傷つかないだろうと思っていた」と自分勝手な思い込みも語った。

 斉藤さんによると、再犯防止に向けた治療を始めた常習者の大半は、逮捕や裁判がきっかけだったという。初診までの平均期間は7・2年で、全体の3割は盗撮を始めてから10年以上たって受診していた。また、66%がスマートフォンで盗撮し、そのうちの9割は「無音アプリ」を使用していた。スマホの普及で、盗撮を始める年代の低年齢化も進んでいるようだ。

 「気付かれないように相手の日記を盗み見る行為」。斉藤さんは盗撮をこうたとえる。「お前は私のことを知らないけれど、私はお前のことを全部知っているんだ」という優越感。動画や画像を保存することで支配欲が満たされ、盗撮を繰り返すようになる-という心理状態を説明する。非接触型の性犯罪のため「傷つけていない」「触れてないから大したことはしていない」と加害者意識が乏しい特徴もみられると話す。

 「再犯防止には早期治療、早期発見が重要。捕まったときが治療につなげる機会」とする一方、常習者の場合は刑罰や監視だけで再犯を抑えるのは限界があるとも考える。罰金刑や執行猶予付きの有罪判決の場合は、治療や教育も受けられるような制度が必要と話した。