エースの輝きダルビッシュ、陽仲壽が頭角 2008年の日本ハムと振り返ると…

一度はFA移籍で退団も復帰しチームを支える日本ハム・鶴岡慎也(左)と田中賢介【写真:石川加奈子】

梨田新監督を迎え、前半は首位争いも後半失速

 10年ひと昔という。10年前の野球界はどんな様子だったのか。2008年の野球界を数字で追いかけよう。今回は日本ハムだ。

2008年 北海道日本ハムファイターズ 73勝69敗2分 3位

 北海道に本拠地を移転して5シーズン目。前年までヒルマン監督の下、リーグ連覇をしていたが、梨田昌孝新監督を迎えた2008年は、首位西武から4ゲーム差の3位に終わった。6月までは西武と激しい首位争いをしていたが、7月、8月で大きく負け越して5割を下回る。9月に盛り返して3位に滑り込んだ。

 クライマックスシリーズ第1ステージではオリックスを2勝0敗で退けたが、第2ステージは西武に4勝2敗(西武のアドバンテージ1勝含む)と敗退した。

○打線 左端の数字は打順、打率の横の()は順位

1外・森本稀哲(27歳) 121試478打121安0本21点12盗 率.253(25)
2二・田中賢介(27歳) 144試536打159安11本63点21盗 率.297(11)
3外・稲葉篤紀(36歳) 127試448打135安20本82点2盗 率.301(8)
4指・スレッジ(31歳) 113試395打114安16本69点0盗 率.289(14)
5三・小谷野栄一(28歳) 120試379打95安6本60点0盗 率.251
6一・高橋信二(30歳) 108試357打102安9本58点3盗 率.286
7外・工藤隆人(27歳) 104試199打51安0本12点8盗 率.256
8遊・金子誠(33歳) 96試291打63安2本29点0盗 率.216
9捕・鶴岡慎也(27歳) 97試248打52安1本18点0盗 率.210
三・稲田直人(29歳) 99試185打41安0本12点3盗 率.222
外・糸井嘉男(27歳) 63試188打45安5本21点13盗 率.239
三・高口隆行(25歳) 74試167打36安0本14点1盗 率.216
外・紺田敏正(28歳) 89試140打33安1本6点14盗 率.236
指・ボッツ(28歳) 55試142打36安5本16点0盗 率.254
一・小田智之(29歳) 64試141打41安3本16点0盗 率.291
遊・陽仲壽(21歳) 44試111打16安2本4点1盗 率.144

 前年まで主軸を打ったセギノールが退団。2桁本塁打は3人だけと、迫力不足の打線だった。前年の首位打者、稲葉篤紀がこの年も3割をキープし、ベストナインを受賞。守備は優秀で、外野の森本、稲葉、二塁の田中賢介がゴールデングラブに輝いた。

 投手から外野に転向して2年目の糸井嘉男、高卒3年目の陽仲壽(のちの陽岱鋼)が、頭角を現しつつあった。

○投手陣 防御率の横の()は順位

先・ダルビッシュ有(22歳) 25登16勝4敗0SV0HD 200回2/3 防御率1.88(2)
先・グリン(34歳) 26登7勝14敗0SV0HD 163回1/3 防御率3.64(14)
先・スウィーニー(34歳) 28登12勝5敗0SV0HD 163回 防御率3.48(11)
先・武田勝(30歳) 20登8勝7敗0SV0HD 121回2/3 防御率2.96
先・藤井秀悟(31歳) 19登3勝8敗0SV0HD 110回2/3 防御率3.25
先・多田野数人(28歳) 19登7勝7敗0SV0HD 105回1/3 防御率4.78
中・建山義紀(33歳) 58登1勝2敗2SV22HD 67回1/3 防御率3.07
中・武田久(30歳) 62登4勝7敗6SV21HD 61回1/3 防御率4.40
中・坂元弥太郎(26歳) 31登6勝1敗0SV2HD 51回 防御率3.18
中・宮西尚生(23歳) 50登2勝4敗0SV8HD 45回1/3 防御率4.37
抑・MICHEAL(32歳) 46登2勝2敗28SV2HD 46回1/3 防御率2.14

 前年MVPを獲得したダルビッシュがこの年も健在。10完投はリーグ最多でゴールデングラブを受賞した。ブライアン・スウィーニーも12勝を挙げたが、リーグ最多の72四球と安定感を欠いた。

 救援陣ではMICHEALがクローザーとして活躍。NPB最速で100セーブを記録するも、オフにトレードで巨人に移籍した。前年、大学社会人ドラフト3巡目で関西学院大から入団した宮西がセットアッパーとして50試合に登板。即戦力の前評判を裏切らない活躍だった。

ドラフト5位指名の中島が現在は不動の遊撃手

 この顔ぶれでの現役選手は、野手は田中賢介、鶴岡慎也。田中はMLB、鶴岡はソフトバンクへの移籍を経て再び日本ハムのユニホームを着ている。糸井嘉男はオリックスを経て、現在阪神。陽仲壽改め陽岱鋼は現在巨人でプレーする。松坂世代の小谷野栄一はオリックス、工藤隆人は巨人、ロッテ、中日と球団を移り、2人とも今オフに引退を表明した。

 投手では、ダルビッシュがメジャーへ移籍。レンジャーズを経て今季はカブスに所属。宮西はデビュー年から11年連続50試合以上登板という驚異の活躍を続けている。

○ドラフト会議

1位 大野奨太(捕手)東洋大学
2位 榊原諒(投手)関西国際大学
3位 矢貫俊之(投手)三菱ふそう川崎
4位 土屋健二(投手)横浜高
5位 中島卓也(内野手)福岡工業高
6位 杉谷拳士(内野手)帝京高
7位 谷元圭介(投手)バイタルネット

 のちに正捕手となる大野奨太が入団。大野は昨オフにFAで中日に移籍した。2位の榊原は中継ぎ投手として2010年に新人王を獲得するが、すでに引退。矢貫も一時期中継ぎで活躍するも引退した。

 中島は正遊撃手として活躍。杉谷も内外野のユーティリティとして健在。谷元もセットアッパーとして活躍し、現在は中日でプレーしている。

 2008年のドラフトは全体的に不作だったが、日本ハムは戦力になった選手が多かった。

 育成中心の日本ハムは10年前の顔ぶれを見ても、着実に実績を残している選手が多いことが分かる。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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