ホテル予約サイトのトラブルに要注意!満室のホテルの部屋が販売されていた

2018年12月1日、中国大手のホテル予約サイトで、すでに満室となっている日本のホテルの部屋が販売されていることが発覚しました。宿側ではもちろん空室をサイトに出してはいません。なぜこのようなことが起こったのでしょうか。ホテル経営者の視点で解説します。

予約サイト上での空売りが発覚

2018年12月1日、トラベルメディア「トライシー」に衝撃的な記事が掲載されました。

中国の大手宿泊サイトで、すでに満室となっていて、空室がないはずの日本の宿泊施設の部屋が販売されていたという内容です。なかには実際に販売されていた金額よりかなり高額で販売されているものもあったようです。

仕組みは、どこかのサイトでキャンセルが出た場合、予約を差し替え、差額を得るというものです。もちろん空室は宿が掲載したものではありません。予約サイト側は、一部の悪質な販売業者(宿ではなく、空室を販売する業者・代理店)によるものだとしています。

仮にその日程にキャンセルが出て差し替えが行われても、宿がもともと設定した金額、内容とは異なるため、宿泊者と宿でトラブルになりかねません。また、最終的にキャンセルが出なかった場合は宿泊自体ができなくなります。

Traicy|トラベルメディア「トライシー」

https://www.traicy.com/20181201-tripcom

観光庁も12月6日に注意喚起を行っています。

国土交通省|観光庁

http://www.mlit.go.jp/kankocho/topics06_000183.html

予約サイトの影響力~インターネット・アプリ時代

宿の予約方法は変わり続けています。最近、電話で宿泊を予約されたことがありますか?

ほとんどの方がパソコンやスマホで予約サイトから、もしくは比較サイトから予約サイトへだと思います。どちらも地図や地域の空欄に行先を入力した後、宿検索、プランや料金比較、という流れです。宿オリジナルのホームページを見てもらえるのは、予約サイトの検索で絞り込まれた後です。

予約サイトの手数料は平均15%くらいです。1泊10,000円の場合、そのうちの1,500円は予約サイトに支払われます。しかし、たとえ小規模な宿でも、世界中からの集客を可能にするメリットを考えると、高い金額とは言えません。そして予約サイトはすでに、世界チェーンのホテルでも参加せざるを得ない影響力を持っています。

キャンセル多発が引き起こした問題

指先一つで世界中の宿を予約できるシステムは、簡単にキャンセルすることも可能にしました。

予約サイトは「残り〇部屋」と誘い、「キャンセル無料」と謳います。「キャンセル無料」とは、決められた期間前にキャンセルすればチャージがかからないという意味です。多くの人が「とりあえず予約しておこう」と考え、なかには「同じ宿を日程を変えて」「同じ地区の宿を複数」押さえる人もいます。

筆者が経営する6部屋の宿でも3割以上の予約がキャンセル無料期間にキャンセルとなります。

今、宿の経営者のほとんどが、このキャンセル対策に頭を悩ませています。そして、そのキャンセルの多さに目を付け、一つのビジネスとしたのが今回の問題なのです。

宿側としても、グローバル化、スマホアプリ化の加速の中で、今までのように価格設定やキャンセルポリシーを決めることが難しくなっています。

モラルで成り立っていたシステムが崩壊しかかっているのかもしれません。

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