【全日本選手権リポート②】銀メダルに輝いた髙橋大輔選手の囲み取材&会見の模様を紹介!

【全日本選手権リポート②】銀メダルに輝いた髙橋大輔選手の囲み取材&会見の模様を紹介!

12月20日から大阪・東和薬品RACTABドームで「全日本選手権2018」が開催され、今年7月に現役復帰を果たした髙橋大輔選手が、ショート、フリー合計239.62点で銀メダルに輝きました。復帰の目標に“「全日本選手権」のフリー最終グループ”を掲げていた髙橋選手ですが、見事表彰台入り。ストイックに努力し、果敢に挑戦する姿勢と、唯一無二のパフォーマンスは、見る者に大きな感動と勇気を与えてくれました。まずは、表彰式の直後に行われた囲み取材の模様をリポートします。

── 銀メダルおめでとうございます。

高橋「自分の演技が終わった後に、この結果(銀メダル)というのは想像していなかったので、正直、驚いているというのが一番です。復帰の時に『表彰台は難しいだろう』と思っていたのですが、ショート2位でフリーを迎えたので緊張感がありました。その(緊張感の)中で、結果としては2位でしたが、(最近の)練習の中で一番良くない演技をしてしまいました。緊張感に勝てるところまでやりきれていなかった、準備不足が出てしまったと思います」

── 改めて演技を振り返って、感想をお願いします。

高橋「(フリーの)6分間練習で4回転(ジャンプ)が奇麗に決まって、その時、4回転に挑戦しようと決めました。スタートしてからは意外と落ち着いていたのですが、緊張感からか固さがあり、(4回転ジャンプの)回転がバラけてしまい、3回転になってしまいました。いろいろな(構成の)パターンは練習していたのですが、少しでも点を稼ぐためにその後のジャンプのプランをどうしようかな、と思っていたら、得意のフリップで手をついてしまい、焦ってしまって…。自分では降りたと思った(3回転)ルッツ‐オイラー‐(3回転)サルコウのところで転倒して気持ちが切れ、その後のミスにつながってしまいました。ただ、『出し切りたい』という気持ちは、最後まで強く持てていたと思います。満足できないところはたくさんありますが、今できる精いっぱいはこれなのかな、と」

── 6年ぶりの全日本選手権の表彰台ですね。

高橋「すごくいい演技をして表彰台に立ったわけではないので、自分でも2位という結果にびっくりしています。まだほかの選手の演技を見ていないので何とも言えませんが、ショート(の得点差)で逃げ切れたのかな、と。そこ(表彰台)に立つというイメージを持って挑んでいなかったので、違和感がありました。『表彰台に立っちゃっているな』という感じで…。この(演技の)出来でこの場(表彰台)にいたくないと言うか…自分がすっきりできる演技をしたかったです」

── 大ベテランの意地を見せましたね。

高橋「若手の子たちがこれからどうなっていくかを楽しみにしながら、自分自身もどれだけ上に行けるかと思いながら、日々を過ごしてきました。それぞれの思いがある中での全日本選手権で、僕はほかの選手と少し違ったところでの戦いだったと思います、その中で自分がどう影響を与えているのかな、と。僕自身としては、そういった(若手の)選手たちと一緒に戦えているという感謝の気持ちでこの試合をやらせていただきました。その中で2番というのは素直にうれしいです。でも、自分の力を出し切れなかったというのは悔しいです(苦笑)」

── 今後、4回転ジャンプを試合で決めたいという思いはありますか?

高橋「今後のことは決めていないのでまだ分かりませんが…(苦笑)。試合なのか、ショーなのか分かりませんが、滑り続けていきたい。人前で滑ることがあったら(4回転ジャンプを)出せるように日々練習していきたいです」

── フィニッシュした時に何か言っていましたか?

高橋「フィニッシュしようと思ったら、足が抜けて、止まらなくて、最後もう一度回ってしまって…(苦笑)。何を言ったか覚えていませんが、たぶん『うわっ!』って(笑)」

── 試合は楽しかったですか?

高橋「試合期間は充実した日々を過ごせましたが、今日のフリーだけでいうと、もっと年越しをすっきりできる演技がしたかったな、と(苦笑)。4回転(ジャンプ)の失敗だけならよかったけれど、ルッツでパンクしたり、二つ目のフリップにコンビネーションジャンプをつけられなかったりと、普段あまりしないようなミスが出てしまったのが一番悔しいです」

── それは4回転を入れるなど攻めたからでしょうか?

高橋「それもあるかもしれないし、練習の仕方や調整不足のせいなのかもしれません。いろいろな要素があると思いますが、やはりこの全日本選手権の緊張感と、予想していなかったショート2位からという結果への欲に打ち勝つだけの力量が、僕にはなかったということだと思います」

── 表現面での満足感はありますか?

高橋「エナジーやパッション的な部分は、(これまでの)3大会の中ではショート・フリーともに一番良かったと思います。質という部分では、後で(自分の)演技を見てみないと分かりません。少し足にきた部分がありますが、ジャンプのミス以外は、このシーズンの中では悪くなかったと思います」

── 次戦はいつでしょうか?

高橋「今のところ分かりません。今後の試合の予定は何もないです。…まだ終わったばかりなので(苦笑)」

── 「世界選手権」の代表に選出される可能性が出てきました。

高橋「(笑)。そこはちょっとじっくり考えて…じっくりと言うか…どうですかね…。いろいろなことがあると思いますし、慎重に考えたいと思いますので、今は何も言えません」

「全日本選手権」銀メダルという結果を受け、「世界選手権」代表候補に選出された髙橋選手ですが、検討の末にこれを辞退。「世界選手権」代表会見の後に行われた、髙橋選手の会見の模様をご紹介します。

── まずは辞退に至った思いをお願いします。

高橋「(出場資格の)ポイントを取りに行けば選出していただけたということで、僕自身すごく迷いました。気持ちとしては選ばれるのであれば行きたい気持ちはやまやまでしたが、やはり世界と戦う覚悟を持ち切れなかったというのが大きな理由です。今シーズン、現役復帰すると決めたのも、練習をし始めたのも遅かったので、この『全日本(選手権)』でどこまでいけるかということも想像できず、『世界選手権』というのは頭の中にありませんでした。今まで僕自身も世界のトップと戦ってきて、世界と戦う難しさを経験していますので、その覚悟を持てないのであれば選ばれたからといって出るべきではない、と。僕は32歳でこの先希望があるかというと、正直ないと思います。世界のトップと試合の空気の中で一緒に過ごすことによって経験できることがたくさんあると思いますので、日本のスケートが盛り上がっていくために、今日本を引っ張っている選手たち、若い選手が(『世界選手権』の)舞台を経験する必要性の方が大きいと感じました。なので、今回辞退させていただきました」

── 来年以降、世界選手権を目指す可能性はありますか?

高橋「…そうですね…(苦笑)。際どいところではありますが…。今回の『世界選手権』はさいたま(スーパーアリーナ)で、本当は(けがにより出場できなかった)5年前のさいたまの『世界選手権』に出たかったという思いがあります。なので、今年ではなく2年前に現役復帰を決断していたら、もしかしたら狙っていたかも。そして、ジュニアの子もどんどん成長してくるので狙える位置にいないと思いますが、来年も現役を続けたら、気持ちだけは世界を目指すかもしれません(照笑)」

── ある意味、若手が勝ちとれなかった道を譲る、ということになると思います。それは、髙橋さんの優しさかと思いますが、それでも代表になっても良かったのでは、とも思います。どうお考えでしょうか?

高橋「僕の覚悟、世界と戦うプレッシャーに打ち勝てるほど今は自分に自信がないというのが大きなところです。そして、やはり『世界選手権』でしか経験できないことがあると思います。僕もフィギュアスケートがすごく好きで、どんどん(フィギュアスケート界が)レベルアップしていってもらいたいという気持ち、後輩たちに成長していってほしいという気持ちが、自分が“勝ちたい”という気持ちと同じくらいあります。そういったところで、両方ですね。冷静に判断して、(代表は)僕ではないだろう、と。希望のある選手たちが、いろいろな経験することが大事だと思います」

── 髙橋選手の試合を見たいと望む海外のファンがたくさんいますが、チャレンジシリーズなどに出場する可能性はありますか?

高橋「とりあえず、今は何も考えていません(笑)。来シーズンをどうしようかということを、まず考えないと。今シーズンは試合には出ないと思います」

大舞台でもう一度戦ってみたいという気持ち、後輩に対する期待と思い、そしてスケートへの愛。複雑な思いを真摯な言葉で伝えてくれた髙橋選手は、最後に「ありがとうございました!」と大きな声であいさつし、会場を後にしました。現役復帰という前人未踏の挑戦を経て、次のステージへと進む髙橋選手を、これからも全力で応援しましょう!

そして12月29日(土)午前10:55~11:50には、髙橋選手に密着したドキュメンタリー「新・誰も知らない髙橋大輔」(関西テレビ)が放送されます。関西テレビが完全密着した「全日本フィギュアスケート選手権2018」の裏側や、試合直後の単独インタビューなど、独自取材による髙橋選手の姿をたっぷりと届けます。

さらに、大会終了後に行われた髙橋選手の“打ち上げ”にもカメラが同席。「ショートを終えて、フリーの前、すっごい緊張したんです。いやぁちょっと悔しかったです。やっちまったなぁ。本当はもうちょっとできるんだけどな…」「『(4回転ジャンプを)できるようになったぞ!』というのを、皆さんの目の前で見せたかった。一番気合をいれて挑んだのが公式練習かもしれないです」など、髙橋選手の素顔と本音が満載! 単独インタビューで「これからのスケート人生をどうしていくのか?」と、質問された髙橋選手。気になるその答えは、ぜひ番組でご確認ください!

<放送情報>


【新・誰も知らない髙橋大輔】
◆12月29日(土) 関西テレビ 午前10:55~11:50(関西ローカル)

<雑誌情報>


「TVガイド特別編集 KISS&CRY 氷上の美しき勇者たち おかえりなさい! 髙橋大輔選手号」
(表紙・巻頭特集/髙橋大輔選手)
(KISS&CRYシリーズ Vol.24)
発売中
定価:1,200円(税別)

「KISS&CRY」とは?


「KISS&CRY」シリーズは、日本のフィギュアスケーターの皆さんをフィーチャーし、その「戦う」姿、「演じる」姿を合計50ページ超のグラビアでお届けしています。つま先から指先・その表情まで、彼らの魅力を存分に伝えます。また、関連番組テレビオンエアスケジュールも掲載。テレビの前で、そして現地で応援するフィギュアスケートファン必携のビジュアルブックです。
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