打てる捕手でも大台超えは難関? 年俸に反映されにくい捕手の貢献

ソフトバンク・甲斐拓也【写真:藤浦一都】

盗塁阻止率12球団トップの甲斐も嘆き節?「やっぱり打たないと」

 甲斐は今季キャリアハイとなる133試合に出場。盗塁阻止率は12球団で唯一、4割を超える.447をマーク。日本シリーズでは6連続盗塁阻止を記録するなど守備面で2年連続日本一に貢献した。その一方で、打撃では下位打線を任され363打席。規定打席に届かず、打率も前年を下回る.213だった。

 2度目の交渉で1000万円上積みの2500万円増で年俸6500万円を勝ち取ったとはいえ、甲斐キャノンと呼ばれる強肩で不安定だった正捕手問題を解消。チームの躍進を支えたことはもっと評価されても…との声があるが、守りでチーム貢献する“守備型捕手”には厳しい12球団の査定も見えてきた。

 12球団の年俸トップは2年連続で沢村賞に輝いた巨人・菅野智之投手の6億5000万円。2位以降はソフトバンク・柳田悠岐外野手(5億7000万円)、巨人・坂本勇人内野手、西武からFA移籍した楽天の浅村栄斗内野手(5億円)らが並ぶが、上位勢に捕手の名前は出てこない。ここまでの12球団の捕手を見ると、来季から4年ぶりに捕手復帰する巨人・阿部慎之助の1億6000万円が最高だ。捕手2位は西武から巨人へFA移籍した炭谷銀仁朗捕手の年俸1億5000万円と、いずれも実績のある捕手が並んでいる。広島で打率.305、13本塁打、42打点と“打てる捕手”としてリーグV3に貢献した會澤翼捕手は4200万円アップの年俸9200万円。球界の捕手陣では1番の昇給となったが、大台突破とはいかなかった。

メジャーでも評価は低く、最高年俸捕手ポージーでも全体22位

 捕手は、試合前に打者として相手投手を研究するよりも、相手打者をどう攻略するかの研究に時間が割かれる。さらに、腰や膝など体の負担も大きいポジションと言えるが、数字には表れないチーム貢献は、現状の査定では思うような年俸曲線を描けないようだ。それを甲斐も交渉の場で痛感したようで、「課題はバッティングでしょうね。数字的にもそうですし、打つ方で貢献できていないので。契約の場で球団の方とお話をさせていただいて、やっぱり打たないとダメだと言われたので」と、数字としてアピールできる打撃面の向上を誓った。

 メジャーに目を向けてみると、捕手で来季年俸トップはジャイアンツの主軸打者で3度世界一に貢献したバスター・ポージーの2217万7777ドル(約24億5000万円)だが、メジャー全体22位。メジャー全体の年俸上位にはナショナルズのストラスバーグの3833万3334ドル(約42億3000万円)やシャーザーの3740万5562ドル(約41億3000万円)、ダイヤモンドバックスのグリンキーが3450万ドル(約38億円)と先発投手が並んでいる。「グラウンドの監督」とも言われる捕手だが、銭闘では思うような活躍ができないのかもしれない。(Full-Count編集部)

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