【平成の長崎】「指導者になりJの舞台へ」母校から新たな歩み 元V長崎のMF原田

平成23(2011)年

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 マイクと花束を手に、ひと筋の涙が頬をつたう。言葉に詰まり、一度下を向いた。そして、顔を上げて真っすぐ前を見据え、原田武男は言葉を絞り出した。
 「僕はここで小学校3年でサッカーを始めた。一緒に始めた仲間たちと、選手最後の日にまた一緒に終えることができて最高に幸せだった」
 華やかではないが心のこもった引退試合。謙虚で、仲間を大事にし、誰からも好かれる男は、サッカー人生の原点である母校のグラウンドで、選手生活に別れを告げた。
 あっという間の17年間だった。「何か目標に向かって一生懸命にやっていれば、時がたつのは早い」。プロ選手を目指し、故郷を離れて国見高、早稲田大で送ったサッカー漬けの日々。Jリーグチームを渡り歩き、たどり着いた第二の故郷、長崎。気が付けばベテランと呼ばれ、そして、スパイクを脱ぐ時が来た。
 悔いはない、といううそはつけない。まだまだやり足りないという思いもあるが、いつまでも立ち止まっているわけにもいかない。
 恩師や仲間たちに感謝の気持ちを伝え、約束した。「指導者になって、Jリーグの舞台に立っている姿を皆さんに見せられるように、これからも頑張っていきたい」
 多くの人に愛された39歳は、母校のグラウンドから、また次の目標に向かって歩き始めた。
(平成23年2月28日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

涙をこらえながらお礼を述べる原田=浜小グラウンド