【平成の長崎】東日本大震災 「長崎県民総ぐるみで支援」 平成23(2011)年

 東日本大震災から3日たった14日、県内でも救援の動きが活発化した。中村法道知事は「県民総ぐるみの被災地支援」を呼び掛け、県議会は国に手厚い支援を求める意見書を採択した。被災地に向け、救援部隊や物資が次々に送り込まれ、義援金も集まり始めた。一方、イベントの自粛も相次いでいる。

■消防など派遣
 県は消防庁長官から同日午前に要請を受け、緊急消防援助隊を編成した。
 県内の消防・救急隊員ら62人が参加。救助工作車や救急車など18台に分乗し、一部は福岡県の新門司港からフェリーで経由地の東京に向かった。隊長を務める柴原慎仁・長崎市中央消防署警防一課長は「力の限り、救急・救助に最善を尽くす」と決意を述べた。
 長崎、佐世保、諫早各市や東彼川棚町などは給水車も派遣。日赤県支部は医師ら8人を福島県へ、県民主医療機関連合会は医師ら4人を宮城県に派遣した。

■水、野菜、毛布被災地へ
 飲料水7千リットル分、トマトやイチゴなどの農産物、紙おむつ、乳児用粉ミルク、カップ麺-。南島原市の農事組合法人「ながさき南部生産組合」(近藤一海代表理事)は、これらを取引先の「みやぎ生協」(仙台市)に送った。
 組合だけでなく、若手農業者二十数人も1万円ずつ出し合い、物資には「頑張ってください」と記したシールを張った。
 一方、長崎大水産学部の練習船、長崎丸(842トン)は同日夕、長崎市の新長崎漁港を出航した。
 毛布3千枚、下着類約6千枚、タオル270枚、ペットボトルの飲料水、ポリタンク、乾電池、懐中電灯などを搬送。県職員や教員、学生ら36人が乗り込んだ。同船は1日8トンの造水能力と180トン貯水タンクの装備がある。
 海上自衛隊佐世保基地の多用途支援艦あまくさも同日夕、物資補給と救助活動のため佐世保港を出港した。同艦は缶詰や飲料水などの食料、毛布、ブルーシート、雨がっぱなどの救援物資と、高速ボート3隻を搭載。主に護衛艦が入れない水深の浅い沿岸部の救助、捜索活動に当たる。
(平成23年3月15日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

救援物資を船に積み込む乗組員ら=長崎市多以良町、新長崎漁港
出発式で激励を受ける派遣職員、隊員=佐世保市役所

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