【平成の長崎】GPS端末 試行錯誤 遭難者捜索に効果 数時間で電池切れ 平成23(2011)年

 県警は、衛星利用測位システム(GPS)やカメラ機能が付いた携帯電話型端末を試験的に運用している。警察官の位置情報を把握して的確な人員配置ができるなど、初動捜査への効果が期待される一方、すぐに電池切れするなどの課題も。県警は運用方法などを改善しながら本格的に配備していく方針。
 県警通信指令課によると、端末(横約5センチ、縦約14センチ)は警察庁の「地域警察デジタル無線システム」の一部で、6月1日に試験運用を開始。本県には約500台が配備され、対馬北署を除く県内22署で試験運用されており、本年度中の本格運用を目指している。
 端末は地域警察官を中心に配備し、警察署に設置されている表示端末などから位置情報を確認することができる。6月4日に島原市の七面山であった遭難事件では、端末を持った捜査員を島原署で誘導・指示しながら捜索し、遭難者を無事保護できたという。
 一方、頻繁な位置情報の発信で電池が数時間でなくなったり、携帯電話回線を利用しているため、地域によっては使えない場所があるなどの問題も。地域課員からは「ずっと監視されているような感じがする」「すぐに電池が切れるので、使い勝手が悪い」といった不満も出ている。通信指令課の山田哲朗課長は「位置情報を発信する間隔やバッテリーの容量を増やすなどの検討も進めている。端末を使う側の警察官の意識改革も含め、本格運用後も改善すべき点があれば対応していきたい」と話した。
(平成23年7月22日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

試験運用中のGPS付き端末

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