【RADIO DRAGON-NEXT】菅野結以(メインMC)×玉木陽之(ディレクター)- 運命的な音楽をみつける場所

私が絶対やる! 私がやるべきだ!

──『RADIO DRAGON-NEXT-』になってからもうすぐ5年になりますね。振り返ってみて手応えはどうですか?

玉木:時間が経つと、初期にでてくれていたバンドが結構大きな舞台を踏んでいたりとか、長くやっていると良いことあるなと。バンドの流れを見られるのは素敵なことだなと思いますね。

──NEXTのスタート時のMCは芦沢ムネトさんでしたが、その後、菅野さんへ白羽の矢が立ったのは?

玉木:もともと前身番組の『RADIO DRAGON』をやっていたときに、結以ちゃんに喋ってもらってて。

菅野:そうなんです。私が先にパーソナリティを担当していて、その後にムネトくんが入って。でも入ってすぐ番組が終わっちゃって。

玉木:そうそう、NEXTになるときにムネトさんに一旦やってもらおうということになったんですが、『SCHOOL OF LOCK!』をやることになったので。それで、すぐにスタッフ一同、結以ちゃんしかいないだろうと(笑)。

──抜擢されたときはやっぱり嬉しかったですか?

菅野:そもそも『RADIO DRAGON』がはじめてのラジオだったんですけど。それまで全然、人との交流を持たずに生きてきて、友達とかいない人生で(笑)。小学生の頃から音楽だけをひたすら突き詰めていたんですよ。ライブもほぼ全部1人で行ってました。それでパーソナリティが変わるってなったときに、人生ではじめてオーディションを受けました。今までは落ちたら嫌だから全部断ってたんですけど(笑)。『RADIO DRAGON』はもともと聴いててすごく好きな番組だったから、これ私が絶対やる! 私がやるべきだ! と本当に思ってオーディションに行って。そしたら受かって。なので、番組が一回終わったときも、絶対このまんまじゃ終わんない、必ずラジオで音楽の仕事を絶対するって決めていたので良かったです。

──玉木さんもオーディションに立ち会っていたんですか?

玉木:そうですね。結構いろんな人たちとお会いして、ほぼほぼ人選を決めていたんですが、最後に滑り込みで一応、菅野結以ちゃんっていう音楽好きなモデルの女の子がいるので、その子もオーディションを受けることになりましたと。「そうなんだー、でもほぼ決まってるからなぁ」という気持ちだったんですが。

菅野:好きな曲を10曲くらいもってきて、それについて自由に喋ってくれという感じだったんですよ。

──そういうお題だったんですね!

玉木:それを聴いて、結以ちゃんだぁ! ってスタッフ皆でなりました(笑)。

菅野:10年間友達と遊ばず音楽を突き詰めた甲斐があった(笑)。

──そのときは何の音源持ってきたんですか?

菅野:Syrup16gとか、きのこ帝国とかだったと思います。もともとシューゲイザー育ちなので、きのこ帝国の『渦になる』はドツボだったし、シロップもど真ん中で、あとART-SCHOOL、THE NOVEMBERSとか。

玉木:音楽を紹介するときの言葉で、結以ちゃんがそんな喋るならこの曲を聴こうって思わされる喋りをしていたので。本当に聴いてて良い喋りだなぁって今も変わらず思っています。

──僕も毎回持っていく音源を素晴らしい解釈で返してくれるので感服してます。

菅野:経験が本当なくて、人と喋るのは苦手だけど、愛情だけは絶対負けないと思ってやっていたので、そう言ってもらえて嬉しいです。

妥協なしです! 心から観て欲しい

──今回ついにイベントをすることになりましたが。

玉木:めちゃくちゃ久々になります。前もちょいちょいやってはいたんですが、そこからかなり間が空いて、仕切り直しという思いも正直あって。いろんなアーティストさんにコーナーをやってもらったり、ゲストで出てもらったりしている中で、届けたいなという思いもありつつ、それこそ、義村さん・下北沢SHELTERさんと関わる中で、ライブイベントをやりたいとなった感じですね。

──ありがとうございます! ドミコ、2、折坂さんというキャスティングの意図は。

玉木:誰のライブを組んだら楽しいかなぁと、結以ちゃんも交えて名前をあげて、話し合って合致したのがまさにその3組です。

菅野:Vol.1にふさわしい、『RADIO DRAGON』らしいのと、リスナーのみんなにライブを観て欲しいなと。

玉木:妥協なしです! 心から観て欲しいですね(笑)。

──すごく良い組み合わせですよね!

菅野:ドミコも2も番組の中でコーナーを担当してもらったりしてて。折坂くんは決まり方がちょっとドラマチックでしたよね。

玉木:ドミコと2は結構すぐ、ばっと決まったんですよ。

菅野:折坂くんはゲストで来てくれたときがあって、そのときに弾き語りをやってもらって。そのアルバムと弾き語りのライブが本当に素晴らしくて。皆、心打たれて。

玉木:めちゃくちゃ良かったんですよ!

菅野:折坂くんが帰った後に、これ何かやりたくない!? 絡みたい! ってなって。

玉木:その後、折坂くんに当たってみたいんだけどどうかなってLINEしたら、皆が同意! ってなって(笑)。すぐ事務所さんに電話して、どうですかね〜と思いを伝えたら出てもらうことになりました。スタジオでライブを観てすごい良いなぁと思えるアーティストさんだったので、本当に観てもらいたいですね。

久しぶりに音楽を聴いて涙が出た

──毎月レコメンドパートナーとして出させてもらっていますが、逆にお二人のレコメンドアーティスト、注目のアーティストを教えてください。

菅野:私はGODですね! 今年ファーストアルバムを出して、踊ってばかりの国の下津くんが新しくはじめて、Gateballersの濱野さん、GREAT3のjanくんといった面々がいる、魂を浄化する場所としてはじめたバンドです。

──GODはどこで出会ったんですか?

菅野:友達がやってるファッションブランドのパーティーにライブで出てて。そこでですね。「Typhoon」という曲を聴いたときに、久しぶりに音楽を聴いて涙が出たという経験をして。本当に、胸に大きい風が吹きました。めちゃめちゃザラザラだけど純粋で、歪んだりねじれたりした先の透明さみたいなのがあって。ものすごく自分にしっくりきました。

きれいごとのやさしさじゃなくて、本当に真摯なまっすぐなやさしさ

──玉木さんは?

玉木:僕は、TOCCHI(トッチー)というのがすごく良いなぁと思ってます。札幌出身のシンガーソングライターで、今は沖縄にいるっぽいんですが。歌はシンガーとラップがあわさったような感じです。歌がめちゃくちゃうまい。とにかく声とメロディがマジで聴きやすい。あと、歌詞がめちゃくちゃやさしい。やさしい歌が年々好きになってくるんですよ(笑)。やさしさとか懐の広さがあるアーティストって、すごく良いと思っていて。

菅野:やさしさ大事。わかるー!

玉木:それがしかも、きれいごとのやさしさじゃなくて、本当に真摯なまっすぐなやさしさで。誰にでもわかる言葉なのにすごい刺さるんですよ。人肌のある音楽というか。レコード会社の人にもオススメしたので、早く光が当たらないかなぁと思ってます。

自分で辿り着けない音楽を提供できる

──音楽は普段どういうふうにチェックされてるんですか?

玉木:サブスク、Twitterのタイムライン、あと友達、ラジオももちろんありますけど。いいなって思うアンテナみたいなのがある気がしていて、そこでおっ! って思ったのはすぐチェックしますけどね。

菅野:同じです(笑)。

玉木:なんか今はこれでってのはないよね。

菅野:音楽の趣味のあう友達と最近何聴いてるの? からはじまったり、Apple musicでとりあえず新作を一通りばっと聴いたりとか、ラジオで知ることもあるし、ライブはじまりもあるし。

──いろいろなツールで、音楽を知ることができるようになって、ラジオ業界的にやばいなと思ったりはするんですか?

玉木:音楽をいろんなかたちで知るのはぜんぜん良いことだと思うんですが、ラジオは良いところがひとつ明確にあって、自分で辿り着けない音楽を提供できるところだと思うんです。YouTube、Spotifyとかは、自分でクリックして辿りつくものだし、オススメに出てくるのも、基本的には近しいジャンルだったり、AI的なところでのオススメだったり。しかも、自分がクリックしなければ聴くこともないと思うんです。でも、ラジオってMVがない曲、アルバムの3曲目とか、そういうのをポンとかけたときに何気無く運転している人とか、受験勉強しながら聴いてる人が、えっ! て思わせる力があるなと。予期せぬ出会いにぐっときたりすることってすごくあると思うので、そういう番組をつくっていけたら良いのかなと思います。

菅野:私はいつも革命を起こそうと思ってかけてます。自分がラジオを聴いてて、革命が起きたときがあったんですよ。たまたまラジオから流れてきた曲が、すごい自分の心にフィットし過ぎて、なんだこの曲は!? って。これで人生変わったかのようなことが起きたんです。偶然ってすごく運命的に感じられるから、そこに想いをのっけて、電波の先届け! って、自分で選曲するときは特に、だれかの心に革命を起こすぞって気持ちでかけてます。

玉木:せっかく流すなら、聴いてくれた人に何か良い方向に効いてくれたら、作り手冥利につきますね。

ライフワークとして、一生続けたい番組

──今後やっていきたいこと、番組的目標ありますか?

玉木:続けていきたい! というのがまず一つ大きくあります。あとはイベントだとか、公開録音とか、外に出ていろいろしていきたいというのはあります。やっぱり聴かれないと意味がないんで。どう届けるかというのを考えながら、やっていきたいです。あと、TOKYO FMに言いたいのは、もうちょっと早い時間にやりたいなって(笑)。深夜でなかなか聴けないよって人はradikoってアプリで、タイムフリーで聴けますので是非!

菅野:私はもう、ライブイベントは毎月やりたいです。リスナーとアーティストの橋渡しができたら嬉しいし、あとは、生放送やりたいですね。今は収録だからリスナーの皆のメールを読むとかがあまりできないので、もうちょっとコミュニケーションをとっていきたいところはすごくあって。たまに公開生放送とかできたら、もっと密に一緒につくっていけるかなというのはありますね。で、10年、20年、30年ライフワークとして、一生続けたい番組ですね。

──ライブイベントは毎月是非お願いします!(笑) では、あらためて最後に番宣的なものをいただいてもよろしいでしょうか。

菅野:深夜3時スタートというすっごいディープな時間に、ディープに音楽をお届けするのがテーマで、ゲストさんも他の時間帯じゃ喋れないことを喋ってくれることもあります(笑)。偶然出会える良い音楽、運命的な音楽がみつかるといいなと思ってやっています。夜更かしのお供に是非聴いてください。それから今回のライブイベントは、スタッフ一同太鼓判の3組で、それぞれ表情が違って、それぞれの良さがある、新年、年明けにふさわしい景気のい1日になるんじゃないかと思うので、是非遊びに来てください!

(photo by Kana Tarumi)

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