佐世保支社/「最も美しい湾」に加盟/人工授精のイルカ誕生

◎「最も美しい湾」に加盟

 佐世保市を代表する景勝地、九十九島。4月に非政府組織(NGO)「世界で最も美しい湾クラブ」(本部・フランス)への加盟が認められた。美しい島々をPRする上で、国際的なブランドを獲得。市は認知度の向上を目指し、国内外に発信していく方針だ。

 湾クラブは経済発展や自然環境保全を目的に、1997年に設立した。フランスのモンサンミシェル湾など、26の国と地域の43湾が加盟している。市は2016年に加盟を申請。4月にフランスで開かれた総会では、朝長則男市長がプレゼンテーションをした。

 6月には九十九島の一つ、黒島が「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として、世界文化遺産に登録された。世界的な価値として認められた九十九島。市観光課は「もともと地元の『宝物』だった。そこに新たなブランドが加わった」と歓迎する。

 来年は、9月19日を「九十九島の日」と市が定めて20年の節目となる。この日は毎年、市民らが清掃に取り組んでいる。長年地元に育まれてきた“宝”を、どう世界にアピールするか。官民一体となった取り組みが期待される。

「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟した九十九島

◎人工授精のイルカ誕生

 佐世保市鹿子前町の九十九島水族館(海きらら)で9月27日、ハンドウイルカの「ニーハ」が雄の赤ちゃんを出産した。人工授精で出産に成功したのは国内で4例目の快挙。赤ちゃんの名前は「アイル」に決まった。

 海きららは、ニーハともう1頭の雌「ナミ」の自然繁殖に初めて挑戦。大分県の「つくみイルカ島」で2カ月にわたって雄と同居させたが、いずれも妊娠に至らなかった。そこで、難易度が高いとされる人工授精に取り組んだ。

 ナミも妊娠に成功。胎児は順調に成長していたが、11月下旬に死産となった。ニーハから赤ちゃんを奪い取るなどの影響が懸念されたが、海きららによると3頭の関係は良好。最近はナミもアイルに授乳するなど、2頭で協力しながら子育てをしているという。

 国内では長年にわたり、追い込み漁でイルカを入手してきたが、世界動物園水族館協会から「倫理規範に違反している」と指摘を受けるなど、国際的な批判は強まっている。海きららの人工授精挑戦が、ほかの水族館にどのような影響を及ぼすのか。今後の動きも注目される。

生後間もなく、寄り添うように泳ぐニーハとアイル=9月27日、佐世保市、海きらら

 ■主なニュース

 ▼米海軍佐世保基地に強襲揚陸艦ワスプが配備▼水陸機動団が陸上自衛隊相浦駐屯地に発足▼県内初の犯罪被害者等支援条例が施行▼16万トン級のクルーズ客船が初入港▼県が九州文化学園の小中一貫校の設置を認可▼佐世保商工会議所会頭の前田一彦氏が死去▼ハウステンボスが中国の投資会社から出資を受け入れる方針表明▼連携中枢都市圏で北松佐々町議会は佐世保市と連携協約を結ぶ議案を否決

© 株式会社長崎新聞社