将来の日本代表も?今季J2、J3で活躍した隠れた逸材たち(MF編)

DAZNによりJリーグ各クラブの財政が潤ったことで2018シーズンのJリーグは移籍が活発化した。特に夏場に調子のよくないJ1チームは新外国人やJ2の活躍した選手を引き抜いた。松本から前田直輝を引き抜いた名古屋グランパス、山口から小野瀬康介を引き抜いたガンバ大阪を筆頭にシーズン開幕時は別チーム…ということは珍しいことではなくなった。

さて、まだまだJ2、J3に逸材はたくさんいる。既にJ1へ引き抜かれた選手も含めて編集部一押しの選手たちを紹介しよう。今回はMF編だ。

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藤田息吹(松本山雅)

藤枝東高校、慶應義塾大学を経て2013年に清水エスパルスへ加入。だが清水では出場機会に恵まれず愛媛を経て、2018年に松本入り。

松本というと、上述の前田直に加えてセルジーニョ、前田大然ら1.5列目のレベルの高さに注目が集まったがそれらを支えたのがボランチ陣であり藤田である。

とにもかくにも運動量がすさまじく、松本のカンテと呼ぶ声もちらりほらり。守備面だけでなくパスでのつなぎ、時折放たれる強烈なシュートも持ち合わせる。

J2優勝の松本だが大混戦のJ2を制したのはこうした計算できる選手の影の頑張りがあってこその安定感ではないかと思う。

田中達也(ロアッソ熊本)

アビスパ福岡U-15、東福岡高校、九州産業大学を経て2015年にロアッソ熊本入り。2011年から2013年まで熊本で強化指定としてプレーしており、熊本とは相思相愛が実った形だ。

昨年までは定位置をつかめずにいたが、今季の熊本ではFW登録でありながら右ウィングバックでプレーし9得点12アシストと大ブレイクを果たした。また、J2全42試合に出場とタフなシーズンを怪我無く走り抜けた。

スピード、技術に優れたドリブルが武器の選手ですでに来季はガンバ大阪への移籍が決定済。J2屈指の突破力を持ち、『Football Lab』によるドリブルチャンス力はマテウス(大宮)に次ぐ2位、アシストも3位と結果を残した。

田中達也という名前から元浦和・現新潟の田中達也と混同されることもあったが、今年はJ2で初顔合わせも実現しその後にSNSでも“報告”があがった。

岩尾憲(徳島ヴォルティス)

J2屈指のレジスタとして毎シーズン高いパスのスタッツを残してきたが今季もそれは健在であった。『Football Lab』のパスチャンス力では石津(福岡)に次ぐ2位。また、キャプテンとしてチームを引っ張った。

徳島はシーズン途中に主力が引き抜かれることが多く今季も島屋らが引き抜かれた。しかし、それでも大崩れしなかったのはウタカ、バラルという前線の適格な補強と、中盤の屋台骨がしっかりしていたからだろう。ホーム最終戦後には2年連続にMIPに輝いたのもその証だ。

同じMFのシシ―ニョと共にパス面で徳島を支えた。昨シーズンまで圧倒的なパスのスタッツを残した庄司が仙台へ移籍した(その後怪我もあり出番少なく京都へ移った)。J2産のレジスタとして岩尾が引き抜かれるのも時間の問題かもしれない。

汰木康也(モンテディオ山形)

今季の山形は守備のチームでありながら2列目にはテクニシャンが揃った。その中でもドリブルの技術にかけては天才的ともいえるのがこの汰木だ。

横浜F・マリノスの下部組織出身、2種登録されながら高校卒業後の2014年にモンテディオ山形へ加入し、今季も30試合以上に出場した。

来季は浦和レッズへの加入が決定しているが、これには筆者は少々驚いた。というのは彼は山形ではスーパーサブとしての位置づけであり、ほとんどが途中出場であったからだ。確かにドリブルはすさまじしいのだが一方で守備面やプレッシャーがある状況で得点を取るということに関しては課題もある。事実、今季のJ2での得点は2と多くない。

だが、一方でJ2以下で足元を得意とする選手には珍しい180cm以上の長身でイケメン。徐々にではあるが中でのプレーも慣れてきた印象だ。天皇杯ではJ1王者・川崎フロンターレを撃破する立役者にもなりJ1でやってくれそうな雰囲気は十二分にある。原口や武藤の後継という見方も早くもあり期待をしたいところだ。

ちなみに公式サイトによるとハムスターを飼っているそうだ。

堀米勇輝(ヴァンフォーレ甲府)

ヴァンフォーレ甲府の下部組織出身で、J1でもすでに30試合以上の経験を持つ。一度は京都に完全移籍をしたが2017年に甲府へ復帰し今季も高い実力を示した。

168cmと決してサイズはないがスペースのないところでもプレーできる攻撃的MFで俊敏で技術があり判断力も伺わせるようなスケール感を感じる。一部ファンからは「甲府の至宝」とも呼ばれプラチナ世代の1人でもある。

シーズン終盤は出番がなかったが、キャプテンマークを巻いた試合もあり実力や存在感は間違いなく高い。来季は千葉への電撃移籍が決まったが、J1でも見てみたい選手だ。

船山貴之(ジェフユナイテッド千葉)

フアン・エスナイデル監督の元、DFラインを高くとり攻撃的なサッカーをした千葉。決して順位は良くなかったが得点数だけ見ればJ2屈指の数字である。その中で、千葉は誰のチームなのか?と問えば船山であったと言えるだろう。

松本の田中と同じくFW登録であるものの、今季は攻撃的MFや左右のサイドアタッカーでプレーすることが多かった。船山のチームと言えるのは彼が多くの役割をこなしたと言えるからだ。ボールを失うことがないキープ力がありドリブルやパスはもちろん、運動量もあり守備面の負担も少なくなかった。今季はいつになくシュートも好調で19得点(決定率22.1%)をあげた。2017シーズンが7得点、決定率8.6%、その前が5得点、決定率4.9%と最後の精度だけが課題と言われていただけにこの得点力は良い意味で驚きとなった。

湘南ベルマーレへ移籍した指宿ら大型アタッカー陣が功を奏したのも、為田らが輝いたのも船山がいたからだ。

神谷優太(愛媛FC)

現U-21代表で2018年のAFCU-23選手権組の神谷はQolyでもこれまで何度か取り上げている。U-19代表時代にAFCU-19選手権を制しており、当世代のキャプテンを務めてきたことも多い。東京五輪へ向けたメンバー入りも期待される。

東京ヴェルディ・ユースから青森山田高校へ移るJユースから高校への転校組という新しい潮流を作った1人で、2016年に湘南ベルマーレへ加入した。2018年に愛媛へ加入すると攻撃的MFとして7得点をあげて愛媛の攻撃陣を支えた。

やや調子の波はあるもののドリブル、パス、シュートと3拍子揃っており、FKも得意だ。少々エゴイスティックなところもまた魅力で1人で相手守備陣を崩壊せしめる個人技は見ていて楽しい。

渡辺皓太(東京ヴェルディ)

神谷と共に東京五輪世代のMFとして注目したいのが渡辺だ。ジュニアから東京ヴェルディ一筋という選手で、2016年に2種登録、2017年に正式にトップチームへ昇格した。

U-15~U-21代表歴があり早くから注目されてきた選手だが、一見するとその特徴はわかりづらい。165cmと小柄だが、パワーと技術を兼ね備えた選手でボディバランスに優れ中盤でボールを奪える選手で自らボールを持つこともできる。運動量も豊富でタフな選手だ。

ヴェルディの下部組織出身というと足技に優れる一方で守備面や小柄でありフィジカル面に難がある選手も多かったのだが、世界基準で見たMF像にふさわしい選手。J1、ヨーロッパへの移籍まで考えるとポテンシャルは非常に高い。

平戸太貴(町田ゼルビア)

今季のJ2でトップの17アシストを記録し、町田の上位進出の立役者となったのが平戸だ。鹿島アントラーズの下部組織出身で、2017年から2シーズン連続で町田へ期限付き移籍をしていたが、来季は鹿島アントラーズへ戻ることが決定している。

両足からの正確なキックが武器のMF。今季の町田ではセットプレーを数多く担当し、そのキックはJ2では頭1つ抜けていた。町田では今季、主に右サイドを務めたが、左サイドやボランチでもプレーでき中盤のポジションならどこでもこなせる力があるのも魅力だ。

U-20代表経験者で東京五輪世代であるだけに、まずはU-21代表チームへの招集もありえるのではないか。

以上、J2、J3からMFの逸材を紹介した。Jリーグは今月から複数のサッカーゲームでも再び取り上げられるようになってきた。自分だけの愛着のある選手をゲーム内で獲得をし育ててみるのはいかがだろうか?

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